産経新聞社

ゆうゆうLife

編集部から 育児のサクセスストーリー

 男性の育児休業の取材で薦められ、経済産業研究所の山田正人さんが書いた育休体験記を読んだ。男性育児のサクセスストーリーのようで、胸がすく。

 私も2児の父だが、育児では妻にかなわない。母乳が出るわけでもない。私が抱いても機嫌の直らない子供が、妻が抱けば泣きやむ。子供はかわいいが、いくばくかの徒労感が…。

 だが山田さんは1年の育休で、奥さん顔負けのプロフェッショナルに成長する。奥さんもはかりかねる子供の機嫌を、泣き方一つで判別するシーンは圧巻。「育児において男は裏方」という私の固定観念を打ち砕いてくれた。

 男性は思い通りににならない分野からは、足が遠のく気がする。育児もその一つ。ある識者からは「職場の雰囲気が悪いとか、給料が出ないとかは、単なる言い訳。要するに、男は育児をやりたくないんだよ。だから、制度改正で言い訳を一つ一つつぶしていった方がいい」と言われた。

 ただ、やる気をそがずおだてていけば、男性は案外、やる気になるもの。取材先で「育児で夫に言ってはいけない、『妻のNGワード集』を作ってはどうか」という話になった。夫をサクセスストーリーのヒーローにする。これが実は一番の育休取得促進策かも。

 育休を取ってくれない夫を持つ妻たちへ。子育てのついでに“夫育て”も、どうぞよろしく。(佐久間修志)

(2008/10/17)