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編集部から 働き方見直しのヒント

 「再就職先で恐る恐るがん患者だと告白したら、『それがどうしたの?』と不思議がられて拍子抜けした」というのは、今週の連載で紹介した桜井なおみさん(41)。

 桜井さんはがん罹患(りかん)を機に管理職を務めていた会社を辞め、派遣社員をへて、業界団体に再就職した。一時はキャリアを断念せざるを得なかっただけに、再就職には慎重になった。

 こだわらない理由を上司に聞くと、職員は中高年者ばかりで、上司も病気を抱えている。このため、「仕事の均等化に気を配り、誰でもカバーしあえる環境にしている」という。

 似た話は、がん罹患後も職場の支援で仕事を続け、人事部長に昇進したクレディセゾンの武田雅子さんからも聞いた。

 同社は半数以上が女性社員。女性社員は就職後、結婚、出産、育児と人生の転機を迎える。このため、同社は短時間勤務や有給休暇の利用を促すのはもとより、退職者も、退職時と同条件で再雇用もする。「組織は社員の意思に柔軟に応えるべきだという風土があり、社員の意見を積極的に制度化し、絶えず見直している」という。

 桜井さんの職場は「高齢者」、武田さんの職場は「女性」をキーワードにワークシェアリングを進めている。連載ではがん患者の就労をテーマにしたが、それ以上に、働き方の見直しのヒントを得た気がした。(北村理)

(2008/11/07)