産経新聞社

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編集部から 3食つきが寝たきり予防に?

 特別養護老人ホームでも難しいとされる末期がんの看取りを、職員数のずっと少ない自立型ケアハウスで取り組んでいる。こう聞いて、3年ぶりに「やしお寿苑」を訪ねた。

 そこで施設長が「重度化で退去した人はいません。寝付いても、みなさん頑張って歩けるようになる」と話すので驚いた。入居者はもともと、身の回りのことができる人だが、開設から8年。歩けなくなった人はいないというのだ。

 自立型ケアハウスは、いわば食事付き高齢者マンション。重度の要介護状態や認知症だと、介護用の施設に移ると聞く。寿苑でも歩けなくなると住み続けるのは難しい。しかし、末期がんだと、寝たきりになる期間が短いから、入居者は訪問診療を受け、最期はベテランの家政婦を雇って対応してきたそう。

 重度化しないのは、バランスのよい食事をとり、食堂へ自分で移動するなど、体を動かす機会があるせいだろうか。以前も施設長が「寝たきりにさせないためには、無理やり動かさないとだめ」と話していた。

 ケアハウスなどの生活支援を研究する川西基雄・サンシャイン会理事長は「ケアハウスは健康寿命を延ばすところ。食事付きで、低栄養の改善といった介護予防を行う。要介護3くらいが限度ですが、末期がんは最期が近づくまで動けますから」と話す。終の住み家選びの基準は、必ずしも介護体制の充実ばかりではなさそうだ。(寺田理恵)

(2009/01/23)