産経新聞社

ゆうゆうLife

編集部から 認知症の見極めは難しい

 「もっと早く、母の認知症を疑うべきでした。母は2年前から帰り道が分からなくなることがあったのに」

 連載「どうなる!? 要介護認定」で取材した会社員の男性(44)が、悔しそうに話す。

 男性の母親は常に見守りが必要な状態で、医師から「認知症の傾向がある」と診断された。ところが、男性は仕事の都合で平日の訪問調査には立ち会えなかったという。男性は「調査のとき、私が症状を詳しく説明していれば、要介護3から2に軽くなることは、なかったかも」と唇をかんだ。

 認知症の程度は、医師や認定調査員によって判断に違いが生じる場合がある。「認知症の人と家族の会」の高見国生代表は「早期に専門家の支援を受ければ進行を遅らせ得る」と早期診断の重要性を指摘するが、身近にいる家族でも発症を見極めるのは難しいのが実情だ。

 認知症の要介護度を認定する方法が未完成な点も、家族の負担となる。

 国際高齢者医療研究所長の岡本祐三医師は「要介護度は介護に必要な時間に応じて判定するが、認知症の場合、要介護度と介護にかかる時間が必ずしも一致するわけではない」と話す。要介護度が重く出たからといって、適切なケアが受けられるとはかぎらないようだ。

 男性の母親のように、軽くても常に見守りが必要なケースは、どうすればいいのか。私も答えを探している。(竹中文)

(2009/02/13)