産経新聞社

ゆうゆうLife

老いと生きる 洋画家、城戸真亜子さん(47)(下)

城戸真亜子さんが描いた義母(左)と城戸さんのイラスト(城戸さん提供)



 ■ケアマネに背中を押され 相談できる人は絶対必要

 認知症で要介護4の義母(87)の介護と仕事を両立する洋画家、城戸真亜子さん(47)はこれまで、ケアマネジャーのアドバイスで難題を解決してきました。城戸さんは「経験豊富なケアマネジャーさんに相談すると必ず道が開けました。助けてくれる人や施設を見つけておくのは大事なこと」と話します。(文 竹中文) 

 18年8月に義父が他界しました。義父の死を伝えたら、義母は「そうなの」とあっさり納得。けれども、直後に忘れていて「お父さんはどこ? カラオケに行ったのかしら」なんて。

 そんな義母に「遅いですね」と気持ちを寄り添わせたこともありましたが、そのうち、義父の死について話しても、義母はショックを受けるわけではないと分かり、真実を伝えるようになりました。

 それでも、四六時中のことなので、説明するのは大変で。夕食時には必ず「お父さん、遅いわね」とつぶやく。主人は「なんで、そんな大事なこと覚えられないの!」と怒鳴る。困ったなと。

 解決の道すじを示してくれたのがケアマネジャーさんでした。「ご位牌(いはい)にあるような写真を1枚のカードにして持たせるといいですよ」と教えてくれて。言われたとおりに透明ケースに義父の位牌の写真やお墓の場所を書いたメモを入れて、リビングのテーブルの上に置くようにしたんです。

 義母は朝、必ずその写真やメモを見て「そういうことですね、はい、分かりました」と理解するようになりました。文字や写真で残しておくのは大事ですね、本当に。

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 通所介護(デイサービス)を教えてくれたのも、ケアマネジャーさんで。義父が入院し、一時的に義母と同居していた時期は、デイサービスを知りませんでした。訪問介護だけに頼っていたので、私の海外出張と、主人の出張が重なったときは、ヘルパーさんに泊まりで介護を頼んでいたんです。

 そのうち、ケアマネジャーの方から、デイサービスを教えてもらい、今の施設と巡り合いました。見学した義母は、すっかり乗り気に。それで利用し始めたんです。ショートステイ(短期入所)には、義母が馴染めないのでは、と、なかなか利用に踏み切れなかったのですが、ケアマネジャーさんが「介護している人も、されている人も、お互いに生き生きできるような道を選んでください」と背中を押してくれました。

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 短期入所のときは、母が寂しくならないように、一緒に撮った写真や、迎えに行く日を記したメモなどをかばんに入れて持たせました。ところが、義母は目を輝かせて帰ってきました。施設では、皆で買い物に行ったり、ご飯を作ったり。制作もする施設だったので、社交的な義母には合っていたようです。

 最近では、施設の方から「新しく入所した方に話しかけてくれて助かるんですよ」なんてお礼まで言われるようになりました。

 今は、仕事が集中しているときは短期入所を利用しています。短期入所の後は、すごく、義母に会いたくなります。デイサービスは週2回。状況に応じて訪問介護も頼みます。この施設なら預けられるという場所を探しておくのは大事だと思います。

(2009/03/20)