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ねんきん定期便 記録訂正、いつ反映!?

記録が回復されない岡田さんの定期便(右)と、無事回復された中谷さんの定期便(左)。定期便が届いたら、加入履歴もチェックを。


 ■学生時代・名字変わった女性…注意

 「ねんきん定期便」を受け取った人から、「以前に求めた記録訂正が反映されていない」と、不満の声が上がっている。訂正申し出を受けて、社会保険庁が調査中の記録は約700万件。「今年3月までに受けた分は、12月までに調査を終了する」としている。(佐藤好美)

 「学生時代に納めた国民年金の記録が、ねんきん定期便に載ってないんです。昨年から、社会保険庁に2度も書類を送って訂正を求めたのに、また、送らなきゃいけないんでしょうか」

 東京都の会社員、岡田春菜さん(39)=仮名=は先月受け取った「ねんきん定期便」に、記録訂正が反映されないままだった。

 欠落していたのは、学生時代の納付記録。岡田さんは学生時代に、国民年金への加入が任意から強制になった。当時は、今のように「学生納付特例」という名の免除制度もなく、岡田さんは生活費を削って保険料を納めた。「学生時代、友達から『真面目に納めるとばかを見る』といわれながら、バイトを増やして納めたのに、記録がないなんて…」と、不満がつのる。

 昨年「ねんきん特別便」を受け取って、当時の記録が欠落していると知った。秋に記録訂正の書類を返送。今年3月には、社会保険庁から旧姓記録の確認が来て、それにも回答した。

 「2回も書類を出したのに。電話しても、いつもお話し中でつながらないですし…」

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 現役世代では、学生時代に納めた記録が落ちているケースが目立つ。特に、結婚で名字が変わった女性は要注意だ。

 茨城県龍ヶ崎市に住む会社員、中谷麻衣子さん(38)も学生時代の記録が欠落していた1人。だが、定期便では修復されていた。

 昨年夏、特別便を受け取り、記録欠落を知った。中谷さんの学生時代、父親はすでに退職していたが、「女性も将来、1人でやっていけるようにならないと。自分の年金は、あった方がいいから」と、代わりに保険料を納めてくれた。国への信頼が篤かっただけに、記録欠落を知った父親は怒り心頭。妻が記した当時の家計簿をそろえて、社会保険事務所に抗議に出向いたという。

 中谷さんには4月、定期便に先んじて、社会保険事務所から記録回復の通知が届いた。訂正の申し入れからほぼ8カ月。中谷さんは「私はすっかり忘れていましたが、父は社会保険事務所に電話を入れたりしたようです。処理はせめて3カ月以内ではないでしょうか」と話している。

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 ■まだ残り700万件

 ■「被保険者記録照会回答票」が届かないなら「調査中」

 「年金記録の訂正は、いつ反映されるのか」との問い合わせは多い。編集部にも「特別便の間違いを指摘したが、返事がない。いつまで待てばいいのか」などの手紙が届く。

 4月の定期便に反映された訂正は2月に調査終了した分まで。社会保険庁によると、特別便への回答のうち、1月末時点で約700万件の調査が終了していない。訂正までの期間について、同庁は「その日に解決する事例もあるが、厚生年金で会社がなくなっていたりすると、当時の台帳などを調べており、一概に何カ月かかると言えない。ただ、今年3月までに受けた特別便への訂正申し出には12月までに回答することになっている」とする。

 訂正を申し出たら、記録回復の可否にかかわらず、調査終了時に「被保険者記録照会回答票」が送られる。これが届いていなければ、「調査中」となる。

 訂正を申し入れたのに、定期便に反映されていない場合、同庁は「特別便で訂正回答済みで、定期便に同封の『年金加入記録回答票』が白色の人は、再度、回答する必要はありません」と話している。

(2009/05/08)