産経新聞社

ゆうゆうLife

編集部から お金は天から降ってこない

 友人がぼやいた。「春のボーナスが例年の3分の1に減ったのよ。大ショック。家を建てるんだけど、床材は安いビニールね」

 思わず「春ボーナスが出るだけ、いいじゃないの」と言ったが、不況によるボーナス減や給与カットはひとごとでない。減る人の方が多いのでは。

 ちょうど、会社員が加入する健康保険組合の赤字の記事を掲載したばかり。医療はどうなるのか、と怖くなった。給与や賞与が減ると、納める保険料も減る。仮に100万円のボーナスが30万円になれば、料率7%の事業所で保険料収入は7万円から約2万円(労使込み)に。健保組合の収入は大幅減だ。

 それでなくても、健保組合は高齢者医療への拠出金が増え、解散が相次ぐ。9割超が赤字の見通しのところへ、給与減や賞与減がのしかかる。問題は健保の赤字だけでなく、医療の財源がどうしようもなく足りないこと。本来は支え手だった健保組合でさえ、高齢者増と医療費増で立ちゆかなくなっている。

 解決策は実は少ない。税金や保険料をもっと払うか、診療所でもっと払うか、風邪で医者にかかるのをみんなでやめるか−。解決は20年先になるが、子供が増えるようにする手もある。お金は天から降ってこないのだから。(佐藤好美)

(2009/05/08)