産経新聞社

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編集部から “点滴”で省力化?

 もしも、1時間かかる点滴が5分で終われば、患者はじっとしている時間が短くなる。ずっと楽に違いない。

 胃に開けた穴から注入する「胃ろう」の栄養補給も、一般的には点滴スタイルで行う。ところが、有料老人ホーム「アミーユ隅田公園」で「5分で済む方法で行うので、空いた時間をリハビリやほかの楽しいことに使っていただける」と聞き、驚いた。

 同ホームで胃ろうに使われる栄養剤は、一般的な液体ではなく半固形化栄養。「ウイダーinゼリーのような容器から直接、手で絞り込めて手軽な上に、栄養補給時に起きがちな口への逆流や下痢のトラブルも少ない」という。利用者の実費負担となるが、ホームに払う食費と同程度だそうだから問題ないのでは。便利そうな半固形化栄養だが、介護施設にはあまり普及していない様子。不思議に思って施設などに尋ねると、点滴スタイルよりも手間がかかるらしい。

 製造元の「三和化学研究所」(本社・名古屋市)は「看護師が5分間つきっきりになるので、10人の高齢者を担当すれば、ほぼ1時間がかり」。“点滴”なら、最初に器具をセットすれば看護師は巡回で対応できるというわけだ。

 胃ろうの施設入所者が増加する一方、看護師は不足し、看護・介護の手間を減らすことを優先せざるを得ない。高齢者を支えるのに省力化が優先されるのは、少子高齢化の表れだろうか。(寺田理恵)

(2009/05/15)