お話いただいたとき、わたしも、映画とかを思いだしながら、想像したことと、小説の中で形容される「美ぼうと知性を兼ね備えた…」とか書かれている部分、お芝居の中ではト書きになるところを、わたしなりにどう表現し造形するかで悩みました。その結果、初めはわたしの中のアンナは、朝海(ひかる)さんのヴィロンスキー伯爵と激しい許されぬ恋に落ちるけれども、どうしてもその感情は夫がいて子供もいて、その生活の中にいるアンナから出るもので、家庭への意識が常にどこかにある女性という造形でした。
Q 東京公演の意気込みは
東京では、そんな悩むアンナの姿よりヴィロンスキーへの思いをより強く出せれば、と。「舞踏会」でマズルカを踊るところや「競馬」のシーンでは、彼を愛する気持ちが自然に出ていたかなと思うので、こんどは全体的にセリフのトーンを工夫して、愛する喜びという感情を声にもにじませたいなと考えています。
田窪桜子@産経新聞東京文化部