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清涼飲料各社、新商品に活路
過熱する「濃いお茶」商戦
8月8日(火) 東京朝刊 by 高橋寛次
清涼飲料各社が、「濃さ」を前面に出し、お茶の新商品を相次いで発売している。ここ数年、清涼飲料市場を牽引(けんいん)してきたお茶の成長が鈍化していることから、これまでのものとは一味違う新商品を投入することで、市場を活性化させたいとの思惑が背景になった。一過性のブームで終わるのか、それとも、新ジャンルとして定着するのか。消費者の動向がカギを握る。

清涼飲料各社が「濃いお茶」を市場投入=東京都千代田区のナチュラルローソン新東京ビル店(撮影・高橋寛次)
清涼飲料各社が「濃いお茶」を市場投入=東京都千代田区のナチュラルローソン新東京ビル店(撮影・高橋寛次)


アサヒ飲料は緑茶ブランドの「若武者」で1月に「深い味わい」、4月に「濃旨(こいうま)」を発売し、7月には夏向け商品として「濃い冷茶」も投入した。さわやかさが特徴の茎茶を凍結し、低温で抽出。暑さの中でも飲まれる商品に仕上げたという。

キリンビバレッジは6月に「濃い生茶(なまちゃ)」を発売。「濃い」イコール「苦い」というお茶のイメージを脱し、従来の生茶の特徴だった甘さを強調した。

サントリーも先月18日、本格的なお茶のイメージが強い伊右衛門の新商品として「伊右衛門 濃いめ」を発売。18年の市場規模は前年比2割増の1800万ケース(1ケースは主に500ミリリットル入り24本)と予想しており、「(濃いお茶は)まだ未経験の方が多く、拡大する可能性がある」(同社)とみる。

こうした「濃いお茶」が相次いで発売されるのは、これまで右肩上がりで成長を続けてきたお茶市場が、今年上期(1〜6月)の販売で「前年を下回りそう」(業界関係者)という“失速”現象に直面しているからだ。

「濃い生茶」の開発に携わったキリンビバレッジ商品企画部の大西功一主任は、「糖分を含まない清涼飲料としてみた場合、ミネラルウオーターに(需要が)流れている部分がある。濃い味わいで水との違いを打ち出したい」と開発の背景を説明する。

お茶の濃さを強調した商品の“伏線”となったのは、平成15年5月に花王が首都圏などで先行発売し、16年には全国で販売を開始した「ヘルシア緑茶」だった。この商品は濃度の高い「茶カテキン」による体脂肪低減効果をアピールし、特定保健用食品の表示許可を得たこともあってヒット商品となった。

伊藤園は16年に主力商品「お〜いお茶」シリーズの「濃い味」を発売し、カテキンを多く含む健康飲料として飲まれる一方で、濃い味わいを好む消費者も引きつけている。本庄八郎社長は「日本人全員がお茶については評論家と言ってよく、急須で飲むお茶についても濃いのが好きな方が多い」と分析。発売から2年経っても「濃い味」の勢いは衰えず、「今年1〜6月の販売量は、前年に比べて30%増」(伊藤園)と好調という。

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