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ファブリーズ愛用者からのリクエスト発端に
P&Gレノアはこうして生まれた
8月18日(金) 東京朝刊 by 津川綾子
汗、たばこ、焼き肉の煙…。一日の終わりに脱ぐワイシャツには、その日のありようがニオイとなって染みこんでいる。鼻をそっと寄せ、くたびれた自分を実感した経験を持つ人も少なくないだろう。

P&G「レノア」開発担当の平井公一さん(撮影・津川綾子)
P&G「レノア」開発担当の平井公一さん(撮影・津川綾子)


サプリメントで疲れをため込まない体質を作るように、衣類にもニオイを染みこませない「防臭」ができないか。そんな需要に応えようと開発したのが、防臭できる柔軟剤「レノア」だ。

発売は平成16年2月。折しもP&Gの消臭スプレー「ファブリーズ」をさきがけとして、「消臭」モノがヒットしていた。レノア誕生のきっかけは、ファブリーズ愛用者から寄せられた「あらかじめニオイを防ぐことはできないの?」というリクエストが発端だった。

「防臭とはいえ、新しい商品でひと手間足すことは、ユーザーは面倒に感じる。洗濯のついでに防臭ができれば一番いいと考えました。洗剤は結局すすぎで成分が流れるため、最後に使う柔軟剤に防臭効果をプラスすることになりました」とはP&G研究開発本部の平井公一さん(36)。

「防臭」という新しい性能が人気を集め、今では柔軟剤市場の約4分の1を「レノア」が占めるまでに。だが、決して平坦(へいたん)な道のりではなかった。「香りを楽しめることも柔軟剤の重要な要素ですが、当初、防臭イメージが強すぎたのか、香りを求める人を取り込めなかった」

以後、防臭性能はそのままに香りのよさをアピールした第2弾「リラックスアロマ」(17年9月発売)の開発が始まる。「日本人は『ほのかな』香りを好む。強すぎず、弱すぎず、香りの案配を決めるのに苦労しました」。日曜日、家族とショッピングセンターに出かけ、ドラッグストアが視界に入ると家族はさておき店に足を運んだ。シャンプーやボディーソープなどのテスターの小瓶に鼻を寄せ、「くんくん」とかぎまわったという。そんな休日が数度繰り返されると、子供に「またか!」という顔をされた。

その熱意の結晶として来月、より優しい香りの「ベビーソープの香り」が発売される。ひと仕事をやり遂げた平井さん。そのシャツから、“仕事の疲れ”が香ることはない。

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