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屋内では固定電話、屋外では携帯電話に
新サービス「FMC」 注目集める
8月22日(火) 東京朝刊  by 冨岡耕
通信業界で固定電話と携帯電話の機能を融合させた新サービス「FMC」が注目されている。1台の携帯端末が、屋内では固定電話、屋外では携帯電話に切り替わる企業向けサービスや、固定と携帯の請求書をまとめて料金を割り引くサービスが登場してきた。固定電話の市場縮小と携帯電話の飽和感が広がる中、各社とも次世代戦略で顧客囲い込みの柱に位置づける。

NTTドコモは、1台の携帯端末が、内線や外線など“3役”を担う企業向けサービスを、11月1日に開始する。

無線LAN(構内情報通信網)を内蔵した携帯端末「N900iL」を利用。無線LANを構築した社内で無料の内線電話に、外線は割安なIP(インターネット・プロトコル)電話に、外出先では通常の第3世代携帯電話「FOMA」として利用できる。

最適な通信網に自動で切り替わるため、利用者には「通信費の大幅な削減につながる」(ドコモ)など利点は大きい。携帯電話市場が9000万を超えて伸び率が鈍化する中、ドコモは固定電話の置き換えなど新たな需要創出を狙う。

KDDI(au)は、固定電話と携帯電話の両事業をもつ強みを生かし、固定と携帯の料金請求を統合して月額105円を割り引く「まとめて請求」を実施中。光ファイバー事業で東京電力と提携するなど、FMCの本格展開を見すえる。

ボーダフォン日本法人を買収したソフトバンクは、頭打ちのADSL(非対称デジタル加入者線)に代わる通信インフラを幅広く展開し、「ヤフーなどコンテンツ(情報の内容)を総合的に活用して差別化する」(孫正義社長)狙いだ。

一方、NTT東西地域会社やNTTコミュニケーションズなど固定電話会社も、固定と携帯を組み合わせた企業向けサービスに乗り出すなど、通信各社が新規市場に入り乱れる。急速な技術革新で、固定や携帯など通信網の継ぎ目無し接続が可能になったためだ。

利用者は競争激化で通信料金の値下げや多様なサービスを享受できる半面、固定や携帯など通信会社を1社に絞ることで、将来的には寡占化の弊害も懸念される。

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【用語解説】FMC
Fixed Mobile Convergenceの略称で、「固定(電話)と携帯(電話)の融合」という意味。固定電話の通信料落ち込みを補う新たな収益源として、通信各社が力を入れている。海外では英BTが昨年、1台の端末で固定と携帯を使い分けるサービスを個人向けに始めている。