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人と神の不思議な復讐劇
TPT ギリシャ悲劇「BAKXAI−バッカイ−」を上演
8月24日(木) 東京朝刊 by 生田誠
シアタープロジェクト・東京(TPT)が26日から、エウリピデス作のギリシャ悲劇「BAKXAI−バッカイ−」を、東京・新大橋のベニサンピットで上演する。古代ギリシャを舞台に神と人がくり広げる不思議な復讐劇。演出家の熊林弘高は「古典を現代にやる意味を見いださなければなりません。この作品を取り上げるのは、人間の宗教観を描いているから」と話す。

三大悲劇詩人のひとりエウリピデスが、最晩年(紀元前406年)に書いた作品。「バッカイ」とは、酒と陶酔を司るバッカ(コ)ス(ディオニュソス)神を信奉する女性を指している。

バッカイの女たちはそれぞれ家を棄てて集団生活を営み、自由を楽しんだ。そして男性(王=ペンテウス)と対決し、やがては王を殺すことになる。王と、他所から来た神(ディオニュソス)との対決という構図は、米中枢同時テロ後の世界各地で起きている紛争、宗教問題の場面にも見いだされるという。

「(新興)宗教にマインドコントロールされる人もいれば、宗教を政治的に利用しようと考える人もいる。私も母を亡くしたとき、それまでにない心の空洞ができ、そこに宗教が入り込む余地を感じた」

ギリシャ悲劇はこうした神と人間との対立に、復讐などが複雑に絡み合って成り立っている。ペンテウスとディオニュソスも従兄弟の関係にあり、今回は女優の佐藤オリエがディオニュソスとアガウエ(ペンテウスの母でバッカイの1人)の2役を、ペンテウスは進藤健太郎が演じる。

「ペンテウスのガラスに映った姿から、ディオニュソスが現れるように2人はいわば光と闇。また、ディオニュソスはときに人間に牙をむく自然を表すという考え方もある。舞台の装置は、現代的なビルのエントランス風にし、テーバイの人はスーツを着る。一方、ディオニュソスやコロスは異様な装いで登場させる」と話している。

出演は、ほかに中川安奈、花王おさむ、中嶋しゅう。

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