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しかも低燃費 でもお値段は…
ベンツ 環境に優しいディーゼル車が上陸
8月29日(火) 東京朝刊
国内メーカーは慎重姿勢
ダイムラー・クライスラー(DC)は28日、日本市場でディーゼルエンジン車「メルセデス・ベンツE320 CDI アバンギャルド」を発売した。日本の乗用車市場におけるディーゼル車のシェアは0・1%程度だが、二酸化炭素(CO 2)排出量が少なく、環境にやさしい車として市場開拓を図る。ただ、今のところ日本メーカーは国内へのディーゼル車投入には慎重。DCの新ディーゼル車が840万円という高級車ということもあり、普及拡大には時間がかかりそうだ。

環境性能に優れた新ディーゼル車をお披露目する、ダイムラー・クライスラー日本ホールディングのハンス・テンペル社長=28日午前、東京・有楽町
環境性能に優れた新ディーゼル車をお披露目する、ダイムラー・クライスラー日本ホールディングのハンス・テンペル社長=28日午前、東京・有楽町


成功に自信
DCの新ディーゼル車のCO 2排出量は走行距離1キロメートルあたり215グラムと、同じ排気量3リットルガソリン車より10%程度少ない。大気汚染の元になる窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)も、ガソリン車と遜色(そんしょく)ないレベルまで低下している。

しかも「燃料1リットルあたり15・1キロメートル」(DC)という燃費性能や加速性、静粛性も向上。ハンス・テンペルDC日本ホールディング社長は「日本市場にとって画期的な車。成功に自信を持っている」と話す。

DCが日本市場へのディーゼル車投入を決めた背景には、環境志向の高い欧州ではすでに乗用車市場の半分をディーゼル車が占めるという実績がある。DCでも全販売台数の50%、高級クラスであるEクラスに限れば70%がディーゼル車で、「ディーゼル車普及は世界的な流れ」(DC)というわけだ。

日本メーカーも欧州ではディーゼル車シフトを進めつつある。欧州での販売台数に占めるディーゼル車の割合は、仏ルノーからエンジン供給を受けるなどしている日産自動車が46%、トヨタ自動車は40%に上る。ホンダは今年1〜6月の実績で28%がディーゼル車となり、2005年実績より8ポイント近く比率が上がった。

富裕層御用達
ただ、日本メーカーがDCに追随する形で日本にディーゼル車を投入する公算は小さい。

世界的には生産台数が少なく、高度な電子制御を用いた部品が必要となるディーゼル車はコストが高くなるのが一般的。このため日本でのディーゼル車市場開拓への挑戦は、「富裕層を主要顧客とするDCのメルセデス・ベンツだからこそできること」(国内大手幹部)とみられている。

DCがディーゼル車を、Aクラス(約250万円〜)やCクラス(約410万円〜)ではなく、Eクラス(約670万円〜)に投入したのも、コスト高を許容できる顧客への浸透を狙った結果だ。他クラスでのディーゼル車展開は、「Eクラスでの商業的な成功を実証してから」(テンペル社長)という。

CO 2排出量や燃費などで環境に優しいディーゼル車だが、当面は「富裕層御用達」にとどまることになりそうだ。



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