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りく役再び「気持ちは初演」
明治座「女たちの忠臣蔵」池内淳子に聞く
8月29日(火) 東京朝刊 by 生田誠
討ち入りの季節に少し早いが、この秋、都内で「忠臣蔵」の芝居がめじろ押し。国立劇場(隼町)では9月の文楽「仮名手本忠臣蔵」に続き、10月から3カ月連続で「元禄忠臣蔵」の通し上演。歌舞伎座(東銀座)でも10月に「仮名手本忠臣蔵」が掛かる。男たちを陰で支えた女性群像を描いたのが、9月1日から始まる明治座(日本橋浜町)の「女たちの忠臣蔵」(橋田壽賀子作、石井ふく子演出)だ。大石内蔵助の妻、りくを演じる池内淳子に聞いた。

吉良上野介の首を取った赤穂義士を支えた妻や娘、恋人らに焦点を当てた「女たちの忠臣蔵」は昭和54年にテレビドラマとして放送され、翌55年に舞台化された。

「27年前に、橋田先生がお書きになった家族、女から描くという視点が(他よりも)早かった。女たちは夫を支え、家を守り、子供を育てる。この時代の人は強かった。理屈抜きに大好き」

テレビ版でりくを演じた池内。その相手役(内蔵助)は今回と同じ宇津井健だった。最初の舞台こそ出演していないものの、59年、平成6、8年と舞台でも3度、りくを演じ、作品と役の魅力を知り尽くしている。

「10年も前だと、気持ちは初演と同じ。周りの方は全部変わられて、石井先生が若い方にどんどん新しい芝居をつけてられるのを見ると、こちらもどきどきする。呼吸や間合いも変わるし、テンポよくやりたい」

四十七士の妻や家族にスポットを当てるため、出演者も多い。池内のほか京マチ子、涼風真世、藤田朋子、熊谷真実らが演じる妻、娘、恋人にはそれぞれ見せ場が用意されている。

りくならば第1幕の最後、討ち入り前の集会で別れた夫や息子と再会する場面と、フィナーレで雪の中、江戸を去り、小さな子供たちが待つ故郷へ向かうシーンがある。

「見た目がきれいで、視覚的には雪が半分くらい主役の美しさがある。日本人ならだれもが『忠臣蔵』をみたいし、(女優なら)りくをやりたいと思う。何度もやれて幸せ」と話している。 

1749年に歌舞伎で初演
元禄15(1702)年に起きた赤穂四十七士の吉良邸討ち入り事件は、さまざまな芝居などの題材となった。決定版といえる「仮名手本忠臣蔵」が寛延元(1748)年に人形浄瑠璃(文楽)、翌年に歌舞伎で初演された。物語の舞台は室町時代に移り、登場人物も浅野内匠頭は塩冶判官、吉良上野介は高師直、大石内蔵助は大星由良之助に変えられ、フィクションも盛り込まれた。現在でも最も多く上演される人気作品となった。

昭和に入ると、真山青果が事件を忠実に描いた「元禄忠臣蔵」を書き、歌舞伎でしばしば上演されている。



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池内淳子

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27日まで。問い合わせは明治座(電)03・3660・3939。

国立劇場40周年記念公演では文楽(9月)と歌舞伎(10〜12月)で両作品を通し上演する。問い合わせは(電)0570・07・9900。