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ちょっと若いと自慢/体力、学力に差も
早生まれは得?損? 微妙な“格差”埋める動きも
  東京朝刊 by 森浩
1〜3月に生まれる、いわゆる「早生まれ」。年を取れば取るほど、同級生より“ちょっと若い”のが自慢の種にもなるが、幼少期においては体格・体力や学力などにおける同学年児との差が指摘されている。そんななか最近、その“へだたり”を埋める取り組みが地味ながら動き出している。


J1で驚きの差
「こんなに差が出ているとは」−。“格差”に着目したのがJリーグ。

トップリーグであるJ1に所属する選手たちの数を誕生月別に調べたところ、トップが4月で73人、次が5月で64人と、生まれが4月に近いほど数が多いという傾向が現れた。

逆に最も少ないのは2月(24人)で、4月と比較すると、3倍以上の差。「同学年が一緒になって運動すると、早生まれの子供は4月生まれと比べ、体格面でどうしても劣る。すると、『自分は運動ができない』という意識が根付いてしまい、運動から離れるのではないか」と、Jリーグ技術・アカデミー部のマネージャーを務める山下則之さんは分析する。

補強する調査もある。順天堂大学大学院生の真鍋清孝さんは一昨年、小学生775人に対し、体育に関するアンケート調査を実施した。その結果、早生まれの子供たちは、自分は運動ができるという自信を示した「運動有能感」が、他の月より低いという数値が出た。

Jリーグでは“解決策”として、学年別ではなく能力に分けた指導や、スクール入校時期を4月に集中させず、年に2回にするなど、早生まれの子供も取り組みやすい態勢作りを各クラブに指導している。

山下さんは「例えば中田英寿さんは早生まれ(1月生まれ)だがトップ選手となった。早生まれは決して劣っているのではない。うまく才能を伸ばせるよう指導者も意識しなくてはならない」と語る。

小学校入試にも
「早生まれ」は勉学面でもわずかではあるが不利という分析もある。

一橋大学大学院助教授の川口大司さん(労働経済学)は、総務省の就業構造基本調査(平成14年10月実施)をもとにして、「4年制大学卒業の比率」を調べた。その結果、25〜60歳の3月生まれの人の4大卒の割合は男性の場合、25%台で、4月生まれより3ポイント低かった。また、3月生まれの女性も4月生まれより1ポイント低い8%台だった。

川口さんは、小学校時の成績の差がその後の勉学の過程に影響している可能性を示唆し、「教員などに早生まれの子供に早い時期に(できない子だという)烙印(らくいん)を押したりすることがないように注意を喚起する必要がある」と言及する。

対策への動きが急なのは小学校入試だ。「特に最近、気になさる親御さんが多いらしく、問い合わせも急増している」(都内私立小学校入試関係者)という。

この春に開学した立命館小学校(京都)では、誕生日ごとにグループ分けして、一般入試を行っている。採点の際に勘案するだけではなく、問題そのものにも差をつけ、生まれ月による“格差”を無くしたい考えだ。「学校運営上も特定の生まれ月に児童が集中するのは望ましくない」と同校では意図を語る。

小学校入試のガイド本『私立小学校進学のてびき 19年度版』(日本学習図書)によると、掲載されている都内52校に限っても、半数を超える27校が「生まれ月の考慮」を実施している。

焦りは禁物!
博報堂生活総合研究所の「月齢差」に関するアンケートによると、「誕生日によって損や得をしたことがあるか」という質問に対し、「ある」と回答したのは全体では49%だった。しかし早生まれに限定すると、「ある」と答えたのは68%。損したか得したかは質問からは伺えないが、他の月にはない“特別な”境遇が伺える。

“最大11カ月の差”を気にしてしまう親も多いが、総合児童センター「こどもの城」(東京)で臨床心理士を務める植松紀子さんは「自分の子は劣っていると感じて手をあげてしまうご両親もいる。親御さんとしては気をもむかもしれないが、小学5〜6年生になれば、差は消えてくる。焦らないことが大切」とアドバイスしている。



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