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ポテトチップス、カレールー、ビール…
定番商品、ちょい“高級”人気
12月10日(日) 東京朝刊 by 高橋寛次
40年以上親しまれてきたハウス食品の「バーモントカレー」や、約30年の歴史があるカルビーの「ポテトチップス」など定番商品の高級タイプが次々と店頭に並んでいる。いずれも売れ行きは好調。標準商品よりは少し値段は高めだが、手軽に「ちょっとしたぜいたく」を楽しめるのが人気の理由だ。景気回復を受けて、「少々高くてもいい物を買いたい」という消費者の意識変化が、単価の下落傾向に歯止めをかけたいメーカーの商品展開を加速させている。

ポテトチップスの高級タイプ「ポテリッチ」は、単価を下げずにコンパクト化。コンビニの「棚取り」を有利に進める=東京都港区のローソンキヤノンSタワー店

売れ行き好調
平成元年から販売されているサントリーの高級ビール「ザ・プレミアム・モルツ」は、世界的な食品品評会「モンドセレクション」で2年連続最高金賞を取ったことで、人気に火がついた。今年の販売計画は前年の4倍だが、達成は確実視されている。

知名度の高い定番商品の高級タイプは一定の売り上げが見込める一方で、味が期待以下ならブランドに傷がつく。ハウスは「当初は違う名前となる予定だったが、開発途中で『バーモント』を冠することが決まった。担当者は重圧に悩みながら、新しい技術をつぎこんで開発した」と打ち明ける。

それでも定番名を使うのは「まったく異なるブランドより手に取ってもらえやすい」(同社)との判断からだ。

“棚取り合戦”も
高級タイプが相次ぐ背景には、再編による“巨大化”でスーパーやコンビニなど流通側の価格決定力が増し、各メーカーが単価の下落に悩まされていることもある。コンビニなどでは、商品の陳列棚の獲得合戦も激しさを増している。


バーモントは標準商品(250グラム)の希望小売価格が270円に対し、高級商品(185グラム)は300円に設定、低価格化の流れと一線を画す。コンビニ限定で販売しているポテトチップスの高級タイプは、標準タイプより内容量が20グラム減って価格は同じ150円前後。「コンパクトな高級タイプなら陳列される可能性が高まる」(カルビー)とのねらいだ。

低価格志向の反動
一方で、最近のちょっと高級志向は、消費者が安い商品を追い求めてきた反動ともみられている。サントリーの佐治信忠社長は「ビール類は一時、安い方へと開発されてきたが、『その逆』も必ずあると思っていた」と振り返る。

電通消費者研究センターは「目先の安さだけではなく、『自分が何を求めているかを吟味した上で買う』という厳しい選択眼に進みつつある」と、今年の消費行動を分析している。



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