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落語とドラマの魅力を融合
ラジオドラマ 文化放送 初の公開生放送
  東京朝刊 by 岡本耕治
文化放送は15日、史上初となるラジオドラマの公開生放送を行う。ラジオの魅力をアピールするのが目的で、客の前で声優が語り、音響効果マンが効果音を入れるという試みに、業界内外から注目が集まっている。

音響効果を担当する玉井和雄と、音を作り出す道具の数々(撮影・岡本耕治)

「ラジオは落語を超えられるか!? ラジオ生放送ドラマ『芝浜』」(15日午後7時〜)は落語「芝浜」がモチーフ。大金を拾ってうかれる魚屋の勝(風間杜夫)と女房(石田ひかり)の話と、現代の東京に生きる夫婦(風間と石田の2役)の間を物語は行きつ戻りつしながら進んでいく。

「ドラマは本来、ラジオの魅力的なコンテンツだし、落語は音声で聞かせる点でラジオとよく似ている」。同局の長谷川実制作部長は説明する。事前収録が基本だが、「生で、しかも観客の前で行うことで、番組作りのスリリングな一面を楽しんでもらいたい」としている。

当日は、東京・浜松町の同局内にあるメディアプラスホールに50人の客を集め、その前で風間と石田がドラマを演じる。

風間杜夫(左)と石田ひかり

ラジオドラマには、せりふと音楽、そして効果音の3つしかない。今ではラジオの効果音は、蓄積された音素材を使ったものがほとんどだが、今回はこの道50年のベテランの音響効果マン、玉井和雄が、オケに入れた小豆をゆすって波の音を表現するなど、その場で音を作って聞かせるアナログ方式をとる。

「録音と違い、役者の芝居に合わせて音を表現できるのがメリット。2人の演技にぴたりとあった音を出したい。腕がなります」と玉井は話す。

銭湯内の音、魚屋が発する音、財布から飛び出る二分金…など、ドラマに登場する音は40〜50。これを玉井と助っ人の3人でさまざまな道具を使って作り出す。

玉井が頭を悩ませたのが、現代シーンでの自動販売機の音。「本物の自販機を持ち込めば…」という意見もあったが、「せっかくだから」といろいろなものを組み合わせ、「ガチャガチャゴトン」というジュースが出てくる音を作り上げた。

「もう1つ、勝が船べりにキセルをぽんとたたくと、吸いカスが海に落ちるシーンがある。この際の『じゅっ』という音をどう表現したものか、いまだに悩んでいます」

出演者やスタッフへのインタビューも行われる予定で、玉井の解決策は番組で明らかになる。



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