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“瓢箪から駒”本業の技術応用
富士フイルム・ヤマハ発・ロート製薬 コスメ戦線、異色の新顔
  東京朝刊 by 村山繁
肌の保湿や美白などの化粧品事業に、富士フイルム、ヤマハ発動機など異業種からの参入が相次いでいる。各社が本業の事業で培ってきた技術を応用して開発したもので、化粧品メーカーも警戒まじりに注目。高齢化とともに老化防止で需要が高まることが見込まれるスキンケア分野などで、競争が激しくなりそうだ。()

富士フイルムは独自技術を活用してスキンケア分野などへの参入を発表した=9月12日、東京・丸の内(撮影・村山繁)

富士フイルムは来月15日、抗酸化作用が高いといわれる天然色素、アスタキサンチンを独自の技術で肌に浸透しやすくして配合した美容液「エフ スクエア アイ インフィルトレート セラム リンクル エッセンス」(30ミリリットル、税込み8400円)を発売する。

同社は今年9月、スキンケア分野への参入を表明。機能性スキンケア化粧品「エフ スクエア アイ」シリーズなどを発売しており、新商品投入で品そろえを強化する。

同社は、カラーフィルム事業などで、15ミクロン程度の厚さの中に10数層の化学成分を塗布するナノ技術を持つ。感光を追及する中で、任意のケミカルを特定の場所で反応させる技術や、解析技術にも強みを持っており、健康に役立つ成分の吸収、浸透、安定化などにこれらの技術を動員した。

同社ライフサイエンス事業部の友納睦樹担当部長は「有効成分は多ければよいというものではなく配合比率が重要。最も効果的な比率を自社の解析技術で解明し商品にいかした」と商品の強みを説明する。

また、ヤマハ発動機は、富士フイルムも着眼した、アスタキサンチンを、大量培養する技術を確立。10月から生産を開始、化粧品メーカー、飲料メーカーなどに納入している。化粧品素材の生産を通じて、コスメ産業に間接的に参入した。

同社はオートバイなどの排ガス対策として環境技術を追求する中で、光合成で酸素を発生する藻の大量培養技術を磨いた。藻からアスタキサンチンが取れることから、アスタキサンチンそのものを事業化することになった。

医薬品メーカーの参入も相次いでいる。ロート製薬が平成13年、美白効果の高いビタミンCを配合した美容液「オバジC5」などを投入、その後、抗酸化作用の強いプラチナナノコロイドを配合した美容液などでライナップの充実を図っている。

大正製薬もコエンザイムQ10配合のクリーム「リビタQ10クリーム」を10月に発売、大塚製薬も「メラニンの蓄積をおさえる」などの効能効果を取得した医薬部外品の薬用美容液「インナーシグナル」を投入している。

医薬品メーカーの化粧品は、効き目優先のイメージから消費者の間で急速に広がり、化粧品業界の中でも『ドクターコスメ』として一目置かれている。迎える立場となる化粧品業界もこの動きに注目。花王の尾崎元規社長は「自社技術を応用可能分野への参入に活用するのは自然なこと。花王も今後、化粧品事業に資源を集中投入するが、他業界からの参入を高付加価値化につなげたい。市場を刺激し、新規需要を創出する可能性もある」と分析している。



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