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ミレニアム統合発表1年
百貨店核に連携加速 セブン&アイ
  東京朝刊 by 塩原永久
セブン−イレブン・ジャパンとイトーヨーカ堂を傘下に持つセブン&アイ・ホールディングスが、西武百貨店などを展開するミレニアムリテイリングと経営統合を発表してから、26日で1年を迎えた。「異色」といわれた組み合わせの経営統合だけに人事交流など統合効果は一部にとどまっていたが、来年以降は連携をさらに加速させる。傘下の百貨店の組織の一本化にも踏み込む構えだ。

イトーヨーカ堂が今月4日に開業したモール型ショッピングセンター「アリオ八尾」は八尾西武に隣接し、相乗効果の実験場所とされる=大阪府八尾市(撮影・森田晶宏)

象徴
今月初め、大阪府八尾市に開店した「アリオ八尾」。セブン&アイ幹部が「ヨーカ堂とミレニアムの百貨店がこれほど近接している場所はほかにない。統合の試金石」と位置づける大型商業施設への期待は大きい。

核テナントにヨーカ堂が入居。道路を隔てて隣接する敷地には西武百がある。ヨーカ堂にとり西武百は地域の競合店だったが、統合決定でアリオの計画途中に急遽(きゅうきょ)、ヨーカ堂の建物と西武百を空中デッキでつなげた。

開店後、アリオ入場者の3割がデッキを通って西武百にも来店。セブン&アイは「西武百の客数増につながった」と順調な滑り出しを喜ぶ。

成果
この1年で、セブン&アイとミレニアムの統合作業は、人事交流や情報交換といった分野に限られてきた。

同じ小売業でも、スーパーやコンビニと百貨店とでは、仕入れや商品陳列、接客方法など商売の仕方が「水と油」(大手百貨店)ほど異なるためだ。無理な統合による軋轢(あつれき)を避け、人の交流による融合を優先した。

一方、ミレニアムの方は、統合で目に見える成果を上げている。「セブン&アイ傘下に入り、財務面の安定感が増した」(ミレニアム)ことだ。改装投資などに使う資金調達が低利で可能になり、西武百貨店は来年、東京都心の旗艦店を相次いで改装する計画だ。

攻め
水面下の融合を終え、同社は来年2月から「攻め」の姿勢に入る。

セブン&アイ傘下のロビンソン百貨店が順次、仕入れ担当の部署をミレニアムに統合する。商品仕入れを一体化することで、調達コストの削減につなげられる。

今後は、ミレニアムのブランド力を生かした小売りの手法を、ヨーカ堂が進める衣料品改革などの再生にも活用できるかが焦点の1つになる。

現時点ではスーパーと百貨店の店舗運営の連携は手付かずの状態。最前線のアリオ八尾でも「(連携策の)具体案は今後」(ヨーカ堂の亀井淳社長)と歯切れが悪い。

流通業界のライバル・イオングループがもたない百貨店のノウハウを取り込み、グループ企業の体質を強化できるかどうか。年商5兆円超の総合小売りグループの真価が問われることになる。



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