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2005年を境に
韓流 映画ブーム終焉へ ヒットなく本数も減少
12月9日(土)東京朝刊 by 岡田敏一
韓流ブーム、もう終焉(しゅうえん)!? 今年に入って韓国映画が急速に冷え込んでいる。公開本数こそ多いものの興行収入は低迷し、ヒット作が生まれていない。爆発的な“ヨン様”人気などを背景に、韓国映画の買い付けが高騰したことも一因で、「今までがバブルで、これが普通の状況」と関係者は平静を装う。しかし、北朝鮮の核実験で韓国に対する距離感まで広がっているという見方もあり、韓流の先行きは不透明だ。


韓国の情報部員と北朝鮮の女性工作員の悲恋を描いた映画「シュリ」(日本公開2000年)が火付け役だった。日本で興行収入約18億5000万円の大ヒットを記録し、02年の日韓W杯直前ということもあり、韓国ブームが盛り上がった。

ブームを加速させたのが、テレビドラマ「冬のソナタ」。主人公のぺ・ヨンジュンさんは「ヨン様」「ほほ笑みの貴公子」と呼ばれて主婦層に人気を集め、社会現象にもなった。これを機に、韓国の人気俳優が出演する“韓流ドラマ”が相次いで日本に上陸した。

映画も「私の頭の中の消しゴム」(05年)が興収約30億円、ヨン様主演の「四月の雪」(同)が約27億5000万円の大ヒットに。公開本数も61本とフランス映画を追い抜き、ハリウッド映画に次ぐ地位を獲得した。

しかし今年になって状況が一転。「私の頭−」のチョン・ウソンら韓国の2大スターが共演した「デイジー」(5月公開)が約6億円と振るわず。この秋も、韓国で歴代興行記録を塗り替えた「グエムル−漢江の怪物−」が2億8000万円、昨年韓国で最もヒットした「トンマッコルへようこそ」も約3億円と予想を大きく下回る結果に。結局、今年は興収10億円を超えるヒットが出ていない。

「もうかると分かって粗製乱造気味の作品が増え、結局、飽きられる結果となった」。ある映画関係者は、作品の質の低下を指摘する。ただ、韓流ブームの影響で映画の買い付け価格が暴騰したことも影響したようだ。ちなみに「四月の雪」は約7億3500万円と韓国映画史上最高の買い付け価格を記録、その後も高止まりしたまま。現地の報道によると、「グエムル」は約5億4000万円で興収はその半分程度にとどまった。

価格高騰の影響で、韓国映画の公開本数も下降線をたどっている。00年の14本から昨年は61本と4倍以上に急増したが、今年は逆に34本に減少。“韓流バブル”の終わりを浮き彫りにした。

逆風が吹き始めた中、日韓の映画会社が提携して共同配給するという新たな試みの映画「王の男」(9日公開)に期待がかかるが、映画評論家の川本三郎さんは「韓国映画の不振は、作品が玉石混交のうえ公開本数が多過ぎるということに加え、10月の北朝鮮の核実験強行で韓国、北朝鮮への距離感が一気に拡大したことも大きく影響している。南北融和のムードがすっかり冷め、韓流ファンたちも手放しで歓迎できなくなったのでは」と指摘している。

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