確定すれば“53年作品”すべてが…
「ローマの休日」の著作権は切れている 司法が初判断
7月11日(火) 産経Web
映画「ローマの休日」など昭和28(1953)年公開映画の著作権をめぐる「53年問題」が初めて司法の場で争われた同作の激安DVD販売差し止め仮処分申し立てで、東京地裁の高部真規子裁判長は11日、同作の著作権は切れていると判断し、米国映画会社の申し立てを却下する決定をした。米映画会社側は抗告する方針。決定が確定すれば昭和28年公開の映画はすべて著作権切れになる。同年は名作が多く、決定は映画業界に大きな影響を与えそうだ。

仮処分を申し立てていたのは「ローマの休日」の著作権所有を主張する「パラマウント・ピクチャーズ・コーポレーション」(PPC)。

53年問題は著作権保護期間を50年から70年に延長した改正著作権法(平成16年1月1日施行)の解釈で起こった。

著作権法を所管する文化庁は、昭和28年公開の映画について「著作権保護期間が終了した平成15年12月31日午後24時と、改正法施行の16年1月1日午前0時は同時で、改正法が適用される」と説明。著作権は70年間保護されるとの見解を示しており、文化庁の見解が理論上、正しいかが争点となっていた。

高部裁判長は「12月31日午後12時と1月1日午前零時は同じ時刻を一方の日から見た表現。この時刻を改正法施行日ととらえると、著作権は消滅している」と、文化庁の見解は日本語の解釈上おかしいと指摘。その上で「著作権侵害は刑事罰の対象にもなり、解釈は明確でなければならない」と述べた。

「ローマの休日」をめぐっては、一部ソフトメーカーは「著作権保護期間は12月31日で終了し、その後に改正法が施行された」と判断し、著作権料を払わずに激安DVDの販売を開始。これに対しPPC側は5月、「文化庁の見解に従えば著作権は継続している」と主張して販売差し止めの仮処分を申し立てていた。

PPCによると、「ローマの休日」だけで、500〜1000円のDVDが7、8種類も出回り、露天や大型書店などで販売されている。

決定が確定すれば、28年映画はすべて著作権切れのパブリックドメイン(公共物)となり、映画会社に著作権料を支払わずに自由に使えるようになる。


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