女子大生がPRに奔走
「ユナイテッド93」 忘れないで「9・11」
7月27日(木) 東京朝刊 by 松本明子
米中枢同時テロでハイジャックされた4機のうちの1機で起きた真実を描いた映画「ユナイテッド93」(8月12日公開)。多くの若者に見てもらおうと、1人の女子大生が立ち上がった。2001年9月11日、世界を震撼(しんかん)させたあの日からまもなく5年。「悲劇を忘れない−大学生が語り継ぐ9・11」と題した講演会付き試写会を企画するなど、奔走している。

テロリストに立ち向かった勇気ある乗客の姿を描いた「ユナイテッド93」

早稲田大学政経学部3年の星野希(のぞみ)さん。4月下旬、ニューヨーク滞在中に全米公開されたばかりの映画を観賞した。世界貿易センタービルに突っ込んだ2機、国防総省に激突した1機。4機目の「ユナイテッド航空93便」は、乗客が犯人に襲いかかったため、犯人が目指したワシントンに到達できず、ペンシルベニア州の森に墜落した。テロリストと闘った勇気ある乗客たち。映画は機内の緊迫した状況をドキュメンタリー風に、克明に描いている。

「感動しました。直前に遺族の方だけの試写会が組まれ、連日メディアで報道されていたので気になっていたのですが、見終わった後はこの事実を忘れ去ってはいけない、と強く思いました」

グラウンド・ゼロへも足を運んだ。大きな穴が開いた工事現場にはすでに花も添えられていなかった。風化させてはいけない。誰かに背中を押されるように、帰国後は企画書を手に精力的に配給会社UIPなどを回った。今年1月に設立したマーケティング会社で培った人脈も生かし、先月中旬に東京都内で1回目の試写会を主催。このあと8月1日に都内、5日に名古屋でも開かれる。

「犠牲者の中に早大の学生さんがいらしたことも事件を身近に感じました。この映画は社会的メッセージが強い。見たあと考える、議論する時間を持ってもらいたいというのが願いです。私たちネット世代はコミュニケーション不足で、何を考えているのかわからないといわれることがよくある。でも、実は考えている。意見交換の場を提供できれば、と思います」

「悲劇を見せ物にするのか」という声も米国では上がっていたが、ポール・グリーングラス監督の熱意により、多数の遺族が製作に協力していることを星野さんの企画書では追記している。


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