俳優、滝田栄が初主演
「不撓不屈」 正義貫く男の気迫
6月16日(金) 東京朝刊 by 松本明子
飯塚毅。昭和30年代後半、日本の税体系に敢然と立ち向かった税理士である。彼の苦難の半生を描いた「不撓(ふとう)不屈」は、「金融腐蝕列島」などの経済エンターテインメント小説で知られる高杉良によって生み出された。同名映画は17日から公開されるが、7年間にわたって国家に戦いを挑んだ男の生きようと夫を見守る妻、3人の子供たちのドラマでもある。俳優生活35年にして映画初主演となり、正義感あふれる飯塚を演じた滝田栄に話を聞いた。


「人間の成長なくして税法の成長はない」

昭和38年に飯塚が口にしていた言葉だ。滝田は「このせりふが映画のすべてを物語っていると思います」という。

「映画の話をいただいて、飯塚さんという人物を初めて知ったのですが、原作の書き出し『この男はただ者ではない』に象徴される方だということがわかりました。ぶれない、負けない、踏ん張り続ける強さに、まずひかれました」

実話である。地元の栃木と東京に会計士事務所を構える飯塚の信念は「一円の取りすぎた税金もなく、一円の取り足らざる税金も無からしむべし」。顧客は脆弱(ぜいじゃく)な経営基盤しか持たない中小企業が多く、飯塚は節税対策となる「別段賞与」という制度を勧めた。これに対し、国税局は脱税指導の嫌疑をかけ、やがて職員4人を逮捕。飯塚の長い戦いは始まるが妻、るな子(松坂慶子)だけは夫を信じ、3人の子供たちは父を尊敬し続ける。

「資料を調べているうちに、飯塚さんが禅の大家であることを知りました。入門書も出していらっしゃる。僕との共通を見いだした瞬間で、あのせりふの根拠も理解しました」。滝田はNHK大河ドラマ「徳川家康」で役作りに苦しんでいるとき、座禅を通して仏教に触れ、以来20年以上にわたって禅に取り組んでいる。

「追いつめられた男が丹田に力を込め、戦い終わるまでその姿勢を崩さない。この映画は忘れかけた基本的な精神や大切なものを思いださせ、日本もいいじゃないか、と思わせる作品。当時のマスコミも、はっきりと『脱税ではなく節税』と書いたのは2つの新聞だけと聞く。正義じゃないですか」

滝田の印象に残ったのは、飯塚の最後の弟子から聞いた飯塚のこんな言葉だった。「税理士は技術職だ。悪いことをしようと思えばいくらでもできる。だが、決してするな。絶対するな」

るな子は滝田を見て、「お父さんにそっくり」と亡き夫の面影に重ね合わせたという。

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