“珍味”をどうぞ
「TRICK トリック劇場版2」堤幸彦監督に聞く 
6月16日(金) 大阪夕刊 by 戸津井康之
深夜の連続テレビドラマとして始まり、6年を迎えた人気シリーズの映画化第2弾「TRICK トリック劇場版2」が公開中だ。「なぜこれほど人気が続いているか正直、分からない。それこそ“トリック最大の謎”とも言われてますからね」と堤幸彦監督は笑って煙に巻くが、「冗談のような物語ですが作る方は必死で真剣。私にとってはライフワーク」と続けた。ヒット作の創作現場を聞いた。

《自称、天才奇術師の奈緒子(仲間由紀恵)と、物理学者の上田次郎(阿部寛)は関東沖合にある孤島、筐神(はこがみ)島へ調査に乗り込む。島には霊能力者、筐神佐和子(片平なぎさ)が君臨し島民を支配していた。佐和子は巨大な岩を瞬間移動させたり、村ごと消すなど超常現象を目の前で起こして見せることで島民をコントロールしていたが…》

劇場版は3年半ぶり。八丈島ロケや大規模な空撮などスケール感はアップしたが、「全シリーズを通じ表現手法は同じ」と堤はいう。本格ミステリーとコメディーを巧みに絡め、推理を解き明かしていく展開にスキはない。笑いと謎に満ちたトリックワールドだ。

キーワードは「ユートピア」。佐和子が支配する孤島は現代のユートピアなのだが、堤はこの言葉から、かつての漫才ブームの人気コンビ「ゆーとぴあ」を連想。2人に交渉し、教団メンバーとしてキャスティングした。しかも、教団がお経のように繰り返す言葉が「よろしくねっ!」で、2人の得意のギャグ“ゴムパッチン”も出てくる。

「若い人たちが私の“おやじギャグ”の感性にどれだけ付いて来てくれるかが楽しみですね」と堤は余裕の表情。「ヒットの確信なんて本当にないですよ」とあくまでマイペースだが、「一貫して心掛けてきたのは“僕が面白くて笑えるものをそのまま映像化しよう”ということ。今回のゆーとぴあのネタも同じです」。創作スタイルは6年経っても変わらない。「ヒットさせようと平均値を目指すと失敗する。トリックが目指すのは“珍味”。見る側も珍味を求めているんでしょうか」

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