阪本順治 6年ぶりに自ら脚本も
映画「魂萌え!」  “萌える”女優魂
5月19日(金) 東京朝刊 by 松本明子
団塊世代が多く定年を迎える「2007年問題」はもう目の前。そんな時代に中高年にエールを送る映画「魂(たま)萌え!」が今月中旬、撮影を開始した。桐野夏生の同名小説の映画化。監督は昨年、話題を集めた大作「亡国のイージス」を撮り上げた阪本順治。「顔」以来6年ぶりに自ら脚本も手掛ける意欲作だ。出演者には、風吹ジュン、三田佳子、加藤治子らベテラン女優が顔を連ねた。

“萌え〜”とくればいまやアキバ系の代名詞になっているが、「魂萌え」とは肉体は衰えるが、魂はますます燃え盛る、という著者による造語。桐野は「花萌え、若萌え…など抽象的な魂に萌えていくという意味合いがあります。中高年が年を取って悟ったり不自由になるのではなく、生き生きとした気持ちを込めた私には珍しい作品です」と話す。そして「(脚本は)コミカルでシリアスで感動的。原作より面白い」と絶賛する。

敏子(風吹)は定年を迎えた夫(寺尾聰)と平穏な生活を送っていたが、ある日夫が心臓まひで急死。突然、世間という荒波にほうり出される。見知らぬ女性(三田)からの電話、子供たち(常盤貴子、田中哲司)との相続争い…、敏子の人生が一変する。

阪本は「女性が自分なりの萌えを獲得していく。2007年問題、格差社会といわれる中で希望が持てる作品に仕上げたい。大女優の方々を前に緊張もするが、スリルと興味がある。僕なりの“女の一生”にしたい」と語る。

製作発表会見で、各出演者も「近くて遠い団塊の世代。だてに辛酸はなめていないぞ、の精神で納得していただけるものをお見せしたい」(風吹)「一見平坦(へいたん)な作品の中にサスペンスをはらんだ私にとって新しい役どころ」(三田)「カプセルホテルに住みついているちょっと奇妙な女性を演じるのですが、萌えなんて、とうの昔に片づけられちゃった人、で終わってほしくない」(加藤)と、女優魂の萌えをそれぞれ披露した。

李鳳宇エグゼクティブプロデューサーは「中高年に向けたシミュレーションゲームみたいな映画」と話している。6月下旬にクランクアップ、来年初春に公開される。

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