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「日本での撮影、クレイジー」
ドキュメンタリー映画「めぐみ」 戦い続ける夫妻の姿追う
11月24日(金) 東京朝刊 by 岡田敏一
北朝鮮に拉致(らち)された横田めぐみさんの生存を信じ、戦い続ける家族の生きざまを描いたドキュメンタリー映画「めぐみ−引き裂かれた家族の30年」が25日から公開される。監督を務めたクリス・シェリダンとパティ・キム夫妻は「日本語も話せないのに、こんなシリアスで大変な題材を映画にしようなんてクレイジーだったけど、苦労の甲斐あって日本でも高く評価されてうれしい」と語った。()

映画「めぐみ−引き裂かれた家族の30年−」の監督を務めたクリス・シェリダン(左)とパティ・キム夫妻

1977年11月15日の朝、普段通り学校に出かけた当時13歳の横田めぐみさんがこつ然と姿を消す。新潟県で起きたこの「横田めぐみさん失踪(しっそう)事件」が北朝鮮による拉致事件と政府が認めるまでの約20年、娘を探し出すためあらゆる手を尽くし、奔走する横田さん夫妻の戦いの日々が始まった…。

新聞編集者などを経て数本のドキュメンタリーを手がけたクリスと、CBC(カナダ放送協会)のキャスターだったパティ。2000年5月に結婚し、ワシントンを拠点に活動を開始。米3大ネットワークのCBSやNBC、PBS(米公共放送番組提供協会)などでドキュメンタリー番組の制作などを手がけ、世界を飛び回った。

2人が作品を撮ろうと思ったきっかけは、2002年の小泉前首相の初の北朝鮮訪問だったという。「北朝鮮の拉致事件を初めて知ったんです。大変な衝撃を受けました。その被害者に当時13歳の少女がいたことはもっと衝撃でした」

しかし、さまざまな困難が立ちはだかった。まず資金集めだった。「独立系作品として制作することにしたので、手元の資金だけでは足りず、賛同者を募りました。最終的には個人・法人合わせて約100件の協力を得られましたが、デリケートな政治的問題と感じた人も多く、なかなか協力を得られませんでした」と振り返る。

そして第2の苦労は日本での撮影。「日本語が話せないのに日本に撮影に行くなんて全くクレイジーだよね(笑い)。ドキュメンタリーといっても米国で作る場合と日本で作る場合では全く訳が違ったよ」と苦笑する。

制作しながら最も疑問に感じたことは、この問題が日本で長くタブー視されていたことだった。「もちろん、米国でもこの拉致についてほとんどの人が知らないと思う。そういう意味では、この作品で大勢の人々が拉致の事実を知ることになれば、被害者のご家族にもプラスになるのでは」

作品では、カメラが趣味というめぐみさんの父親、滋さんが撮影した膨大な家族写真が効果的に使われている。この愛情あふれる写真が作品に大きな魅力を与えているのは間違いない。そして「日本人ではないわれわれが取り組んだので、客観的に別の角度から見ることができた」と言うように政治的色彩が薄いのも特徴だ。

「この作品はドキュメンタリーですが、同時に普遍的な親子の愛の物語であり、娘を連れ戻すために30年という途方もない苦闘の日々を送った横田さん夫妻の人間ドラマでもあります。日本のみなさんにもぜひ見てほしいと思います」

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