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「米国の観客に確かめたい」
イーストウッド監督の硫黄島“双子映画”、全米公開へ
10月16日(月) 産経Web by 松尾理也/ロサンゼルス
第二次世界大戦末期の硫黄島での戦闘をテーマにした「父親たちの星条旗」(クリント・イーストウッド監督)が20日から全米で公開される。同作品は、日本側の視点から制作された「硫黄島からの手紙」(同監督)との“双子作品”という異例の形態をとっていることもあり、公開を前に硫黄島での戦いへの関心が再び米国で高まっている。

「父親−」は、2000年に出版された同名のノン・フィクション(邦題は「硫黄島の星条旗」)が原作。一方、「硫黄島−」は、今回抜擢(ばってき)されたほとんど無名の脚本家、アイリス・ヤマシタ氏が書き下ろした。

ロサンゼルス・タイムズ紙によると、もともとイーストウッド監督は「父親−」だけの制作を考えていたが、撮影中に硫黄島での戦闘における日本軍兵士への関心が高まり、両側の視点からの制作を決断したという。

登用されたヤマシタ氏は日系人だが、硫黄島の戦闘についての知識はまったくなかったという。ただし、史実だけでなく日本側の文化的背景や政治的な敏感さを配慮する上で、日系2世であることは有益だったようだ。同紙に対し、ヤマシタ氏は「日本の人々にとって政治的にも文化的にも微妙な含意を持つ、大変配慮を要する事柄であるということに留意した」と述べている。

一方、映画の公開は、米国の人々にも改めて硫黄島の戦いの記憶をよみがえらせている。ハワイで発行されているホノルル・アドバタイザー紙は、試写会に参加した80歳の元海兵隊員を取り上げ、「今でも硫黄島の夢をみて夜中に起きることがある」との言葉を紹介した。

CBSテレビは、イーストウッド監督が日本側の視点からの制作を行った意図について「米国の観客に、『われわれはいい人間だ』といった単純な考え方から卒業してほしい、と思ったからだ」と指摘している。

日本では「父親−」が今月28日から、「硫黄島」が12月9日から公開される。

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