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「魂観」CON−CAN ムービー・フェステイバル
ネット上で短編映画祭
10月17日(火) by ENAK編集部
“会場”はインターネット上−−。そんな国際短編映画祭が開かれた。インターネット上に世界中のクリエーターと観客が集う「『魂観』CON−CAN ムービー・フェステイバル」だ。

3回目を迎える今回は世界54カ国から616作品の応募があり、うち厳選された30本がネット配信された。9月1日には、世界5カ国の審査員がネット上に“会し”、観客=ユーザーの投票結果も反映しながらグランプリと準グランプリを決めた

右から、ラジフ・アフジャ監督、ミシュランジュ・ケイ監督、ケイ監督の妻のエルザさん

「魂観」の最大の特徴はネットならではの豊かな国際色。今回のグランプリ(魂観賞)はフランスの「ゴスペル・オブ・クレオール・ピッグ」(ミシュランジュ・ケイ監督)、準グランプリ(魂賞)はインドの「白昼」(ラジフ・アフジャ監督)と英国の「愛してないなら、ほっといて」(デュアン・ホプキンス監督)−というように“国境”がない。(関連記事:「週末はネットで「ショートフィルム」三昧 無料視聴できる映画祭」/「ショートフィルムに注目! 映画がより身近に」)

作品はいずれも10分前後で、時間や場所を選ばず気分転換に鑑賞できるのも魅力。一方で、短い収録時間は作り手たちに装飾を求めないため、長編にはない訴求力を感じさせたり、難解であったり。作品は「履歴書」と言った長編監督もいるが、こちらは「鏡」に近いかもしれない。監督自身がむき出しにされる。

運営はメディア総合研究所(東京都渋谷区)。今後は広告収入を増やし、短編映画サイトの事業化を目指す。

都内で授賞式
東京都内で14日、授賞式が行われた。ミシュランジュ・ケイ監督とラジフ・アフジャ監督が来日、記者会見した。インタビューは次のとおり。

■「ゴスペル・オブ・クレオール・ピッグ
(19分/仏/ミシュランジュ・ケイ監督)
<<「私はクレオールの豚だ」。大航海時代より数々の侵略者の脅威にさらされてきたハイチ。世界初の黒人共和国を実現させながら、いまなお貧困にあえぐハイチの歴史と現在が、一匹の豚を通して詩的に語られる。>>

−−ブタの視線から詩的に語らせる手法の着眼点は?
「クレオールピッグ」というのは、ハイチでは「抵抗」のシンボルで、ハイチ人を表す動物とも言われています。以前、屠殺(とさつ)場を訪れたときにひらめきました。

−−欧州各国で上映されていますが、印象に残ったコメントは?
複雑でした。私の映画は意識が非常にオープンです。そのオープンさについていけない観客もいました。そのような人たちに「このようなシーンでは、このような感情を抱け」を明確に示さなければ作品が楽しめないのですが、今回は思いのほかよかったと思います。

−−観客のなかにはこの作品にこめた感情は?
宗教的な意味ですが「畏怖(いふ)」です。

■「白昼」(11分/インド/ラジフ・アフジャ監督)
<<ムンバイ郊外を走る列車で実際に起こったレイプ事件を基にした作品。乗り合わせた5人の乗客が取った行動は…>>

−−素人俳優が出演しています。どのように出演依頼を?
例えば、老人がそうですが、これはリクシャー(自転車タクシー)の運転手で、出会った瞬間にピンときて依頼しました。はじめは「経験はないから」と断られたのですが、お金と食事を提供するので、心のおもむくままに演じてほしいとお願いしました。「襲われている女の子を娘か知人と思って演じてください、それだけです」としか伝えませんでした。それがかえってよかったと思います。

−−このような状況を見過ごすことのほうが普遍的だと思いますか?
ほめられたことではないが、えもいわれぬ恐怖を感じて勇気がなえてしまうのが通常だと思います。重要なのはそういう状況でも恐怖をコントロールすること。「自分だけが助かる」という欲望をコントロールすることが大事だと思います。

−−“人の目”が主役になっているような作品ですが、もうひとり乗車させるとしたら?
犬です。犬は忠実な生き物だと思いますし、女性の飼い犬だったらほえたりして、人間よりも役に立ったかもしれません。

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