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興行収入10億円突破も確実
「フラガール」 好調ハワイアンドリーム
10月20日(金) 東京朝刊 by 岡田敏一
昭和40年代、福島県の寂れた炭鉱町の活性化を目指し、「常磐ハワイアンセンター(現スパリゾートハワイアンズ)」を開業させた人々の奮闘ぶりを描いた邦画「フラガール」(李相日監督)が異例のヒットを続けている。ユニークな実話の映画化とあって先月23日の封切り以降、口コミで客足が伸び、興行収入10億円突破も確実という。図らずも、さまざまなブームが折り重なったことが人気の秘密のようだ。

映画「フラガール」(シネカノン提供)

 石炭から石油にエネルギー資源の移行が本格化した昭和40年代、本州最大の炭鉱で知られた「常盤炭鉱」の人員削減で寂れた福島県いわき市の炭鉱町が舞台。ハワイアンセンターを建設して、集客の目玉として地元の若い女性によるフラダンスショーを企画する。盆踊りしか知らない彼女たちにフラダンスを教えるため、東京からダンス教師(松雪泰子)がやってくる。当初は拒否反応を示していた地元の人々も次第に団結し始める…。

9月23日に公開されたが、派手な宣伝を展開しておらず、公開第1週の興収チャートは4位。しかし口コミで話題を集め、2週目に3位に上昇し、3週目も3位、そして4週目も4位と好調を維持しており、映画関係者も「公開1週目が客足のピークで後は徐々に客足が遠のくのが普通。このような動きは珍しい」と声をそろえる。

今月9日には観客動員数50万人を突破。11月中旬まで上映されることになり、映画を製作したシネカノンは「興収10億円突破は確実」と期待をかける。同社が扱う邦画としては1988年の会社設立以来、最大のヒットになる勢いだという。

製作のきっかけは、プロデューサーの石原仁美が約3年前にたまたま見たテレビのクイズ番組での、「常磐ハワイアンセンターを作る際、ヤシの木を枯らさないように石油ストーブで周辺を暖めた」というエピソード。これに刺激を受け、「斜陽の炭鉱がレジャー産業で復活をめざす物語を映画に」と考えたという。

追い風だったのが、フラダンスが7年ほど前に中高年の女性から火が付き、いまや若い女性の間でも大人気となっていることだった。また、スパリゾートハワイアンズは開業40周年、いわき市も市制40周年という節目もあって、地元の盛り上がりも後押しした。撮影のほとんどはいわき市で行われ、いわき市の「いわきフィルムコミッション協議会」の協力を受けて、地元の人たち延べ約1100人がエキストラとして出演した。

さらに公開前、米アカデミー賞の外国語映画賞部門の日本代表に決まるという予期せぬ“吉報”により脚光を浴びたことも、公開後の客足の伸びに拍車をかけた。石原は「雪国にハワイアンセンターというミスマッチに実話ならではの強みが加わったことが大勢の人に支持されている」と話している。

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