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「スーパーマンリターンズ」
僕は不要? 戻ってきた超人 悩みも描く
9月1日(金) 東京朝刊 by 岡田敏一
世界で最も有名なヒーロー、スーパーマンが19年ぶりに“復活”した。公開中の「スーパーマンリターンズ」(ブライアン・シンガー監督)は、SF映画の傑作として知られるシリーズ第1作(1978年)とは少し趣を変え、自分の使命や存在意義について自問自答する“悩めるスーパーマン”の心のひだまで描いている。

スーパーマン リターンズ (C)ワーナー・ブラザース
スーパーマン リターンズ


ハリウッドでスーパーマンの映画化が話題になり始めたのは、第1作から第4作までスーパーマンを演じたクリストファー・リーヴが亡くなった昨年10月から数週間後のことだった。その後、スーパーマン役に無名の新人ブランドン・ラウスが選ばれ、ソニーとパナビジョンが共同開発した新型映画撮影用カメラ「ジェネシス」を初めて使ったハリウッド映画になるといった話題が次々に飛び込んできた。2億7000万ドル(約310億円)というハリウッド史上最大級の製作費も話題をさらった。

自分探しの旅に出るため、地球からこつ然と姿を消したスーパーマン。だが、自分の故郷は地球と悟り、5年ぶりに戻ってみると、メトロポリスは犯罪の巣窟(そうくつ)。宿敵レックス・ルーサー(ケビン・スペイシー)も刑務所を抜け出し、スーパーマン撃退を虎視眈々ともくろんでいる。

そして恋人で花形記者のロイス・レイン(ケイト・ボスワース)には婚約者と息子がいた。さらに、彼女は「なぜ世界はスーパーマンを必要としないか」という記事でピュリツァー賞を受賞していた…。

かつてのスーパーヒーローはあっけらかんと悪党を退治したが、「スパイダーマン2」(2004年)や「バットマンビギンズ」(05年)のように、近年は自分の仕事や存在意義を自問自答するちょっぴり陰気な悩めるヒーローが主流。今回のスーパーマンもまさにそうで、ロイスの心変わりの原因を知ることが、世界平和の維持と同じくらい重要なのだ。

加えて「スーパーマンは必要か?」という大きな命題は、長引くイラク戦争で「米国は世界を救うスーパーマンでいなければならないのか?」と自問自答する米国民の気持ちを代弁しているようでもある。

とはいえ、来日会見で「スクリーンで見て(自分のスーパーマンぶりに)驚いた」と当人が言うように、ラウスのスーパーマンはお見事。ジョン・ウィリアムズが作曲した有名なテーマ曲が流れると心が躍るし、巨額の製作費に見合うアクション・シーンや特殊撮影技術も見どころだ。

スーパーマンは果たして必要なのか? この問いに対して映画が導き出した答えもまた、今の米国の姿を如実に反映したものだろう。

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