ポイントは温度と時間の管理
手作りビールに挑戦 一から楽しむ“プロの味”
7月2日(日) 東京朝刊 by 榊聡美
汗の量が増えるごとに「ビール指数」も上昇中。チルドだ、プレミアムだといっても、一度は味わってみたいのが自分の手でつくったビール。合法的につくるべく、国産ビール発祥の地に足を運び、体験教室に参加してみた。

「大人の食育」
「キリン横浜ビアビレッジ」(横浜市鶴見区)で毎週水・土・日曜日に開かれている「ビールづくり体験教室」。これまでの受講者数は3年で延べ9000人を数える。希望者は引きも切らず、抽選倍率は最も人気のある土曜となると10倍に。4〜6人のグループで、品質の7割までも決めるといわれる「仕込み」を実際に体験する。「大人の食育」という観点からも、非常に人気が高い。

まずは、自分たちが飲みたいタイプのビールを選ぶ。黒ビールのシュバルツ、コクのあるボック、軽やかな味わいのレッド、日本人に最も親しまれているピルスナーの4種類。あまりなじみがなく、6%とアルコール度数が最も高いボックを選択した。この日、ボックは一番人気で「飲んべえのグループが多いですね」と、支配人の金岩功三さんはうれしそうだ。

チームワーク
グループごとテーブルに分かれ、作業開始。大きな寸胴鍋や計量カップ、温度計…。理科の実験や家庭科の調理実習をほうふつさせ、何だかわくわくしてしまう。

醸造技術員の佐藤定芳さんの指導のもと、ビールのもとになる麦汁づくりから挑戦。お湯の中に細かく砕いた麦芽を少しずつ加えていく。

温度計を気にしながら、絶えず大きなへらで鍋を底からかき回す。前半のこうした作業はチームワークがものを言う。もろみと呼ばれる糖化されたおかゆが出来上がり、これを搾ると、こうばしい香りのする甘い麦汁ができる。最初に濾過(ろか)されて出てきたのが一番搾り麦汁。お湯を入れてエキスをさらに出して二番搾りも回収した。

次がハイライトの「ホップ添加式」。「ホップは苦味や香りのもとになるもので、ドイツでは『ビールの魂』といわれています」。金岩さんの言葉を受け、気持ちを込めてホップを投入すると、各テーブルで拍手が沸き起こった。

“魂を入れた”後は常に高温だった麦汁をクールダウンさせ、酵母を加えて受講者の作業は終了。あとはインストラクターの手に委ね、約6週間後には完成品のビールが届けられる。

待ち遠しい日々
ビールづくりのポイントは温度と時間の管理。重労働も多く、5時間弱の作業を終えるころには腕も足もパンパンに。それもそのはず、「プロ仕様」なのだ。オートメーション化で画面の操作だけになってしまったビールづくりの基本に立ち戻るため、社員研修の一環として行っていたものだという。

受講者の1人、同市港南区に住む星野一幸さん(64)は、「定年後、家で飲んでいる仲間に、こういうビールの楽しみ方を教えたいね」と満足顔。口にする日を待ち遠しく思うのも楽しみのうち、というわけだ。

完成品は1グループに中瓶20本。参加費用は1人当たり2600〜3300円(グループの人数によって異なる)。問い合わせはTEL045・503・8289。

spacer.gif

お気軽にメールをください。ここをクリックするとお使いのメールソフトが自動的に起動します。

この画像をクリックするとTVnaviのサイトに飛びます

産経Webは、産経新聞社から記事などのコンテンツ使用許諾を受けた(株)産経デジタルが運営しています。
すべての著作権は、産経新聞社に帰属します。(産業経済新聞社・産経・サンケイ)
(C)2006.The Sankei Shimbun All rights reserved.