メガネ、マッサージ、美容室…
萌えブーム 広がるメードビジネス 
7月5日(水) 東京朝刊 by 猪谷千香
オタク文化から生まれ、全国的なブームとなっているメード喫茶。業界初のビジネス書『メイド喫茶開業マニュアル』が出版されるなど、勢いは止まらない。“メードのいる店”はもはや飲食店だけでなく、メガネ店、マッサージ店、美容室などさまざまなサービスにまで拡大、人気ビジネスに成長している。このブーム、一体どこまでいくのか?

メードが席まで料理を運んでくれるハンバーガーレストラン「萌バーガー」=東京都千代田区
メードが席まで料理を運んでくれるハンバーガーレストラン「萌バーガー」=東京都千代田区


全国一のメードビジネス激戦区、“アキバ”こと秋葉原。週末の歩行者天国には、あちらこちらで笑顔のメードが店のチラシを配る。そんなアキバに6月、全国でも珍しいメードのハンバーガーレストラン「萌(もえ)バーガー」がオープンした。ファストフードではなく、ご当地にちなんだ「アキバーガー」など本格的な米国スタイルのハンバーガーが売りという。

「アキバの文化はこれから。5年後、10年後に目を向けています」と激戦区での出店理由を話す同店代表の瀬名竜司さん。「今、料理はおいしくてあたりまえ。プラスアルファでメードさんがいるというエンターテインメントを楽しんでいただければ」と自信をみせる。女性や外国人の客も多く訪れ、好調な滑り出しのようだ。

単にメードがいるだけでは、もう客の心はつかめない。ビジネスのノウハウを書いた『メイド喫茶−』の著者、赤堀卓士さんが今年初めに調べたところ、メードのいる飲食店は全国に200軒。数年前からのブームはピークを迎えている。集客できずにつぶれる店も少なくない。

「アキバのメード喫茶に取材を申し込んでも『ノウハウを教えるのは勘弁してくれ』と断られることが多かった」と赤堀さん。

それだけ他店との競争は激しく、差別化は必須だ。「生き残るには、その店でなければ味わえない何かがあるかどうかです」

そんな中、メードが家事をする派遣サービス、メードが足のマッサージや整体のサービスをする店、メードが受け付けするクリーニング店、メードが髪を切る美容室…新しい形のビジネスが、次々と登場している。

メードがお見立てしてくれるメガネ店「キャンディフルーツオプティカル」=東京都千代田区
メードがお見立てしてくれるメガネ店「キャンディフルーツオプティカル」=東京都千代田区


ユニークなコンセプトで話題なのが、4月にアキバでオープンしたメガネ店「キャンディフルーツオプティカル」。横浜の老舗、山下眼鏡店がメード服ブランドと共同出店した。およそ8割が20〜30代の男性客で、メードがメガネを見立ててくれたり、できあがると直筆の手紙で知らせてくれるサービスが好評だ。

「しっかりとした接客をしてくれるとの声をちょうだいしております」。人気の秘密を語る山下眼鏡店取締役、山下修さん。安価ではない商品を扱うだけに、接客には気を配っている。「秋葉原にあるメード喫茶とは一線を画す店舗としてやっていることをメードにも意識づけしています」

メードビジネス拡大は、なぜ起きたのか。赤堀さんは指摘する。「メード喫茶は、メードのイメージである給仕するスタイルと飲食店が合いました。掃除をしてくれたり、髪を切ってくれたりするメードさんもいるでしょう。メードは応用がききます」

今後も新たなメードビジネスは増えそう。「今は戦国時代。淘汰(とうた)され、時代のニーズにはまるものだけが生き残る。減るかもしれませんが、需要があるのでなくならないでしょう」。そのときにはブームでなく、新たな“文化”として受け入れられるのかもしれない。

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