顧客とのコミュニケーション重要
「ギフトアドバイザー」 贈り物選びの強い味方
7月7日(金) 東京朝刊 by 森田晶宏
今が最盛期のお中元をはじめ、年中行事や冠婚葬祭など、人に贈り物をする機会は数多い。ただ、いざ百貨店に足を運んでみたものの、普段はなじみのない進物の慣習やしきたりに戸惑い、何を選んだらいいのか悩んだ経験のある人も少なくないはず。そんなときに心強いのが、今年3月に百貨店業界の公認資格となった「ギフトアドバイザー」。贈り主のニーズを巧みに聞き出して、最適なギフトを勧めてくれる頼れる存在だ。

贈り主の要望をうまく聞き出し、心に残る最適な贈り物を提案するギフトアドバイザー=東京・日本橋の高島屋東京店

判断材料引き出す
東京・日本橋の高島屋東京店。同店には現在、16人のギフトアドバイザーがいる。「デパ地下」と呼ばれる食品売り場の係長、森田東美さんもその1人。胸に輝く銀色の認定バッジが目印だ。

ギフトアドバイザーは販売員の知識や技術のレベルに応じて、1級から3級まである。おおまかな目安は、1級が後進の目標となる最高レベル▽2級がその売り場を3〜5年程度経験した中堅レベル▽3級がまだ間もない基礎レベル。森田さんは2級資格を有している。

「販売員が『これがいいですよ』と一方的に売り込むと、せっかくのギフトも的外れになってしまう」と森田さん。贈る相手の年代や生活スタイルなどを顧客から聞き出して最適のギフトを選び、提案するのがコツだ。「判断材料の7〜8割は顧客から引き出す」(森田さん)というだけに、顧客との濃密なコミュニケーションが鍵を握る。

同店の榎本孝子・販売教育担当課長は「接客は知識や技術のほかに、顧客から『この人に聞いてよかった』と思われるような、販売員の人間性が重要な要素」と語る。

取得者5300人
もともとギフト販売は百貨店の主力ビジネスで、業界の公認資格となる前から大手の一部では独自にギフトアドバイザー制度を設けていた。西武百貨店は平成8年、そごうは14年からそれぞれ社内資格として任命。高島屋も横浜店限定で導入してきた。

ただ、贈り物を包む掛け紙やのし紙の使い方ひとつをとっても、地域や百貨店の店舗ごとに微妙な違いがあるのが実情。このため、「百貨店各社のギフト販売のノウハウを集約し、販売員の技術向上に役立てる」(日本百貨店協会の岡部一郎・業務推進部長)との狙いで、今回の公認資格化につながった。

百貨店業界では、婦人服と紳士服それぞれの「フィッティングアドバイザー」がすでに公認資格となっており、ギフトアドバイザーは公認資格の第3弾となる。資格の取得者は現在約5300人いるが、百貨店協会は今後2年間で1万人に増やす目標を掲げている。また、靴選びを手伝う「シューフィッター」も新たに公認資格とすることを検討。販売・接客のプロ育成に力を入れている。

背景には核家族化
ギフトアドバイザーが注目を集める背景には、「核家族化が進んで、お年寄りからアドバイスを受ける機会が減り、年中行事や冠婚葬祭の実体験に乏しい人も増えてきたため、進物の慣習やしきたりの知識が年代に関係なく薄れている」(高島屋東京店の森田さん)といった事情がある。

こうした社会変化を受けて、伊勢丹は5年にいち早く、冠婚葬祭や贈り物のマナーなどの相談を受け付ける「儀式110番」のカウンターを新宿本店に設置。8年からはインターネットのホームページでも儀式やギフトなどの約束事をQ&A方式で紹介しており、サービスを強化している。

「贈り主の心を贈る、そのお手伝いをするのがギフトアドバイザーの役割。特に進物関係は贈る相手がいる以上、失礼や非常識があったら大変。恥ずかしがらずに、何でも聞いてほしい」。高島屋東京店の森田さんはこう強調する。相手も自分も満足できるギフト選びに、上手に活用したい。

spacer.gif

お気軽にメールをください。ここをクリックするとお使いのメールソフトが自動的に起動します。

この画像をクリックするとTVnaviのサイトに飛びます

産経Webは、産経新聞社から記事などのコンテンツ使用許諾を受けた(株)産経デジタルが運営しています。
すべての著作権は、産経新聞社に帰属します。(産業経済新聞社・産経・サンケイ)
(C)2006.The Sankei Shimbun All rights reserved.