一手間かけて無駄なく
野菜の冷凍保存のコツ 
7月9日(日) 東京朝刊 by 榊聡美
湿度・温度ともに高くなるにつれ、野菜の足も速くなる時期。無駄なく使い切るための保存方法のコツを、ベターホーム協会常務理事の堀江雅子さんに聞いた。

野菜の冷凍は水気を取り除いて小分けし、ラップに包んでからフリージング用の保存袋に入れるのが基本

安くまとめ買いしたり、食卓を豊かにしようといろいろな材料をそろえたりする知識にはたけているのに、それを使いこなす術を知らない−。堀江さんは、そんな現状が食べ物の大量廃棄に歯止めがかからない要因のひとつになっていると指摘する。

同協会が行ったアンケート調査(別項)によると、家庭で捨てることの多いものの第1位が「野菜」。最近も日照不足による野菜の高騰が話題になったばかりで、使い切る工夫の重要性は高まる一方だ。

お勧めしたいのが、比較的長く持たせることができる冷凍保存。水分・組織が多いのが野菜の特徴だが、その両方を除くことが冷凍のコツだ。水分をよく取り除き、よく刻むなどして組織を細かくするとよい。具体的な方法を紹介しよう。

【キュウリ】何本かまとめて買うことが多いのに傷みやすいため、廃棄率が非常に高い。冷凍する際は、薄切りにして塩をふってもみ、水分をよく絞る。使うときは自然解凍して酢の物や即席漬けに、またはポテトサラダなどに加えてもよい。

【薬味類】常備しておきたい薬味類も、余らせてしまう食材の代表格。長ネギ、葉ネギは小口切りにして冷凍庫へ。ニンニクは1かけずつ皮をむいたり、みじん切りにしてから冷凍し、凍ったまま加熱調理する。

ショウガは汚れた部分を除いて(1)よく洗って丸ごと(2)1回分ずつに切って(3)すり下ろして(4)みじん切りや細切り、薄切りにして…など、用途に応じた方法で冷凍し、解凍せず使う。ちなみに、ミョウガ、三ツ葉、青ジソは冷凍には向かない。

【青菜】買ってきたらまず、1束ゆでる。堀江さんは「まとめゆで」するとか。大鍋1つで3、4種類の青菜を次々とゆでていくという。小松菜などあくの少ないものを先に、モロヘイヤやホウレンソウなどあくの強いものは最後にするのが鉄則。3〜4センチの長さに切って冷凍すれば、おひたしやゴマあえに重宝する。

【きのこ類】生のまま洗わずに根元を除き、小分けする。解凍すると水分が出てしまうので凍ったまま加熱調理する。

こうしてみると保存のための一手間は、その先にある調理のスピードアップにもなるし、料理の内容を豊かにすることもできる。

「ただ、冷凍庫に入れると一生持つ、と思ってしまう人もいるけれど、それは間違い。目安としては1カ月以内、生のまま冷凍した場合は2週間以内に使い切って」と堀江さんは話している。

同協会では、食材や食品の保存方法をまとめた『大切な食べものを無駄にしない読本』を発行。希望者は300円分の切手を同封のうえ、〒150−8363 東京都渋谷区渋谷1の15の12 ベターホーム協会「保存読本」係まで。

50代の7割 「食べ物捨てる」
ベターホーム協会では、料理教室を受講している20代以上の女性約400人を対象に、家庭における食品廃棄の実態についてアンケート調査を実施した。

家庭で食べ物を捨てることがあるか、との問いに50代の72・4%が「よくある」「たまにある」と回答。全体平均を8ポイント上回る高い数字だった。「料理を食べきれなかった」を捨てる理由に挙げる人が多く、子供が独立したのに、つい料理を作りすぎてしまう−。そんな光景が目に浮かぶ。

一方、20、30代は賞味期限・消費期限を捨てる目安にしている人が多かった。賞味期限の意味がよく理解されておらず、全体の10%が「賞味期限を過ぎたものはすぐ捨てる」と回答。また、「卵は賞味期限を過ぎたら火を通しても食べられない」と思っている人が4割近くいた。

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