競争激化、朝の情報番組
独走「とくダネ!」 合い言葉は「打倒!小倉」
7月11日(火) 東京朝刊 by 安藤明子
民放各局がしのぎを削る平日の朝8時台の生情報番組。4月からは日本テレビ系が「ザ!情報ツウ」に代わり新番組「スッキリ!!」をスタートさせ、テレビ朝日系「スーパーモーニング」が放送開始時間を30分繰り上げて視聴率挽回(ばんかい)を図った中で、フジテレビ系「とくダネ!」が65カ月連続(6月末現在)で視聴率1位の座を獲得した。同番組の人気の背景と、朝の視聴率戦線を探った。

65カ月連続でトップの座をキープしているフジテレビ系「とくダネ!」のメーン司会の小倉智昭(中央)と、笠井信輔、佐々木恭子アナウンサー
65カ月連続でトップの座をキープしているフジテレビ系「とくダネ!」のメーン司会の小倉智昭(中央)と、笠井信輔、佐々木恭子アナウンサー


平成13年2月から視聴率トップを走る「とくダネ!」の放送が始まったのは11年4月。当時の情報番組は芸能ニュースが圧倒的比重を占める“ワイドショー”として競争を繰り広げていたが、同番組が目指したのは“脱ワイドショー”。本音トークで人気上昇中だった小倉智昭を司会に迎え、「スキャンダラスな芸能ニュースをだらだら放送しない。大事件・事故のニュースを掘り下げるのはもちろん、硬いイメージがある政治経済ネタをわかりやすく伝えよう」(宗像孝プロデューサー)との取り組みがじわじわと浸透し、30〜40代主婦の視聴者を獲得。長年、トップを独走していた日本系「ルックルックこんにちは」を逆転して今日に至っている。

視聴習慣が付いた最大要因は「小倉さんのトーク。小倉さんがニュースにどう切り込み、何をしゃべるかを視聴者が聞きたがっている」と宗像。昨年3月末からはTBSがみのもんたを起用して8時半までの早朝番組「朝ズバッ!」をスタートさせたことで、8時開始の他局への影響が注目されたが、この番組だけが唯一揺るがなかったのが、何よりの証しだろう。

「朝ズバッ!」はわずか半年間で軌道に乗り、みのファンの高年齢層を奪われた形となったのが日本系「ザ!情報ツウ」と朝日系「スーパーモーニング」。4月から日本系は視聴ターゲットの若返りを図るため、司会に生情報番組初挑戦となる極楽とんぼの加藤浩次、レギュラーコメンテーターにテリー伊藤を起用、「2人に視聴者目線で進行してもらう」(小松良徳プロデューサー)という新番組「スッキリ!!」に変更。“今”をキーワードに話題の人物のスタジオ生出演と生中継を多用した番組作りに徹しているが、「浸透するにはもう少し時間がかかりそう」(同)。

また、「スーパー−」は放送開始を7時半に繰り上げ、冒頭で定評がある大ニュースのVTR素材を流すことで高年齢層奪還を目指しているが、「『7時半』がまだ視聴者に認知されていない。朝はとくに“体内時計”の切り替えが難しいが、やるべきことをきっちりやっていれば、いずれ視聴者は付いてくる」(青木吾朗プロデューサー)と“そのとき”を待つ。

一方で、漁夫の利を得たのが岡江久美子、薬丸裕英の司会でおなじみのTBS系「はなまるマーケット」だ。番組は平成8年春、オウム真理教のビデオ問題で揺れた同局が「親子で安心してみられる生活情報番組を」(当時の高綱康裕プロデューサー)と同年秋にスタート。明るくためになると人気を得た後、3年ほど前から視聴率が下降気味だったが、「朝ズバッ!」の快進撃の影響で“復活”。9月には10周年を迎える長寿番組となった。

「朝の視聴習慣を変えるのは難しい」とはプロデューサーが異口同音に発した言葉だが、このまま「とくダネ!」がトップを維持するのか、それとも他番組が一矢を報いるのか、激戦区の戦いは続く。

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