三島戯曲 充実の舞台 「確信持って」
劇団四季 9月から「鹿鳴館」京都劇場公演
7月12日(水) 大阪夕刊 by 平松澄子
劇団四季が三島由紀夫戯曲に初めて挑んだ「鹿鳴館」が、9月11日から京都劇場(JR京都駅ビル内)で上演される。東京の自由劇場で今年1月から、ストレートプレーでは異例といえる約半年間のロングランを達成。そのあと「関西でやるならまず京都で」と上演が決まった。公演を前に、浅利慶太代表と主演の野村玲子、日下武史が抱負を語った。

「京都できちんとした美しい日本語の『鹿鳴館』を見てほしい」と話す浅利代表と野村、日下(右から)=東京・浜松町の稽古場
「京都できちんとした美しい日本語の『鹿鳴館』を見てほしい」と話す浅利代表と野村、日下(右から)=東京・浜松町の稽古場


「鹿鳴館」は文学座20周年を記念して、三島が31歳のときに書いた戯曲で、初演は1956年11月。その後、新派や商業演劇、映画などでも取り上げられている。

物語の舞台は、明治19年11月3日の天長節。花柳界から伯爵夫人となった朝子、夫の影山伯爵、朝子のかつての恋人で反政府派のリーダー清原、若い恋人同士の久雄と顕子らの宿命的な人間関係に、政治的陰謀や暗殺などがからみ合った悲劇が格調高く描かれる。

演出を担当した浅利代表は、「三島は西欧を吸収して日本文化に定着させた第一人者。『鹿鳴館』はその最高傑作の戯曲で、おもしろい芝居を美しい日本語で書いている。そのまま正しくやればいい芝居だが、真正面からせりふを語れることが大前提。四季は50年間せりふの勉強に取り組んできて、ようやくやれると確信をもって上演に踏み切った。われわれのやり方が間違っていなかったことが、ロングランで実証されたと思う」と自信をみせた。

生前の三島と親交があった浅利代表は、「この作品は、三島に見せることを意識して、装置(土屋茂昭)、照明(吉井澄雄)、衣装(森英恵)、音楽(林光)らスタッフを三島世代で編成した」そうで、ラストのカーテンコールでは、28歳当時の三島の写真を舞台に掲げている。

ヒロイン朝子役の野村は、1幕では裾をひく和服、2幕ではローブデコルテと、華麗に変身する姿もみどころ。「四季に25年も在籍していて、日本人の役は今回が初めてなんです。和服のつまをとるしぐさなどは地唄舞の先生から習いました。演出家から、脚本が完ぺきだから役作りはするな、といわれたんですが、自分の体で表現するのは難しい。いつも緊張の連続です」という。

影山伯爵役の日下は、「ぼくは去年の10月から『鹿鳴館』にかかりっきり。1回の舞台が終わるごとに頭が真っ白になるので、先のことは考えないようにしている。雅(みやび)な京都で雅な言葉が響くように、と願っています」と話していた。

京都公演は10月9日まで、全22回。

●●●問い合わせは劇団四季予約センターTEL0120・489・444。
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