小遣い稼ぎ、実態確認も重要
“ちり”も積もれば山となる!? 広告系ポイントサービス人気
7月14日(金) 東京朝刊 by 山口暢彦
受信したメール内のアドレスをクリックし、企業の広告サイトを閲覧するとポイントがもらえる「広告系ポイントサービス」が人気だ。ポイントは換金でき、「小遣い稼ぎになる」と利用者は増えている。だが中には実態の分からない怪しげなメール送信会社もあり、“詐欺的”に個人情報を盗まれたりしないように注意が必要だ。

1年で2700万!?
広告系ポイントサービスの利用を中心に昨年、約2700万円を稼いだのは、ネット関連会社「オールネット」社長の長沼豊さん(27)だ。実家の借金返済に迫られ、サービスの利用を開始したのは大学生だった21歳のころ。「初め50社ほどのサービスに登録しました。1日何十通もくるメールを講義の合間や帰宅後に開け、資料請求などを懸命にやりました」

ポイント換金による“月収”は当初は約3000円だったというが、登録数を増やしたりすることで徐々に上がっていった。収入が爆発的に伸びたのは14年4月、この手のサービスを比較紹介した「金持ち兄さんへの道」というサイトを立ち上げてからだ。

サイトを訪れた人が、張られたリンクからポイントサービスのサイトに移動し、登録すれば、長沼さんが“紹介”したことになる。紹介すればポイントは大きく、「月あたりの収入が10万円、20万円と、どんどん増えていきました」。

急増する登録者
市場調査会社の矢野経済研究所によると、広告系のポイントサービスを手がける業者は60〜70にのぼるとみられ、利用者も「確実に増えている」という。

「利用者は手軽に小遣い稼ぎができる。一方、広告サイトを提供する広告主側は(無差別に郵送する)ダイレクトメールと違い、関心ある人に効率よく広告できる」と、同研究所研究員の中川太郎さんは人気の背景を分析する。

業者の1つ、「アイブリッジ」(大阪)が提供する「フルーツメール」の場合も、平成16年7月には約155万人だった登録者が、今月は193万人と40万人近く伸びている。

使い方はこうだ。「フルーツメール」では個人情報を登録する際、「海外旅行」「キャンプ」など約100項目から、受け取りたいメールのジャンルを選ぶ。

メールは1日1通から数通。「海外旅行」を選んでいれば、旅行代理店の商品広告などにリンクしたメールが届く。ポイントをためる方法は2通り。リンクが張られたアドレスをクリックすれば5ポイントもらえるケースと、メール受信だけで1ポイントたまるケースだ。換金は2525ポイント=2000円から可能。ほかの業者のサービスも大差はない。

"詐欺的"に要注意
インターネットを利用した気軽な「小遣い稼ぎ」。国民生活センターなどに今のところ、このサービスに関するトラブルは報告されていないが、今後利用がさらに広がれば、トラブルが発生する可能性もある。

「オールネット」の長沼さんは「業者を見極める目が大切」と呼びかける。サービスの提供事業者のなかにはホームページすら持っておらず、会社概要がよく分からないところもある。このようなところは「個人情報を集めるためだけに作られた可能性もあり、要注意だ」という。

一方、ネットの安全対策に詳しい業界関係者は「紛れ込んだ詐欺的なメールに引っかからないように」と注意する。「サービスを利用する人は好きで多くのサービス業者に登録しているだろう。すると、たくさんのメールが送られてくる。それに混じって、(個人情報を不正入手する)フィッシングサイトなどに誘導するメールが送られる危険性は捨てきれない」と指摘。そのうえで、「くるメールが自分が登録したものか、しっかり確かめて利用するようにしてほしい」と呼びかけている。

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