世界に一つだけ 手作りアルバム
「スクラップブッキング」静かなブーム 
7月18日(火) 東京朝刊 by 村上智博
思い出の写真を世界に一つしかない飾り付きアルバムに仕立てる「スクラップブッキング」が静かなブームになっている。米国発祥の手工芸で、癒やしの魅力に引きつけられる女性が多いとか。デジタルカメラやパソコンで写真が加工しやすくなったこともブームに一役買っており、関連商品の市場も広がりをみせている。

お気に入りのアルバムを手にする久米さん。「世界に一つしかないことが魅力」という=東京・有明の東京ビッグサイト

NPO法人「スクラップブッキング協会」(奈良市)などによると、1980年ごろ、米国ユタ州で、家族のきずなを表現する方法として口コミで広まったのがブームの発端。5年ほど前に日本でも紹介されるようになり、最近1、2年で愛好者が増え、いまでは3万人を超えるという。

制作には、数十年の保存にも耐えられるよう、劣化しにくい台紙を使用。台紙を好みの大きさや形に切り、写真を張り付ける。リボンで立体的に飾り付けたり、メッセージを書き添えたりして、完全オリジナルのアルバムを作る。

2年前に出版された『大好き!スクラップブッキング』(学陽書房)の著者、久米英美子さん(43)は「お気に入りの写真を世界に1つの手作り作品によみがえらせるところに、ほっとできる癒やしを味わえるのが魅力」という。

デジタルカメラの普及で写真の撮影や加工、印刷が容易になったうえ、飾り付け用のデザインを無料ダウンロードできるようにしたホームページが増えていることなども、愛好者を増やす後押しになっているという。

ブームは関連商品の市場を拡大。台紙を切り抜くパンチなどは約2000種類にまで増え、国内市場規模は年間100億円といわれる。7月上旬に東京都内で開かれた国際展示会には専用文具や紙製品を販売する120店が出店した。専門店も全国で相次ぎオープンしている。

文具メーカー「呉竹」(本社・奈良市)の直営専門店「アート&クラフトDUO東京青山店」(東京都港区)は、昨年暮れに初心者向けスクラップブッキング体験講座を始め、好評という。

また、文具販売店「かみもと文具」(東京都文京区)は昨年8月、専門コーナーを2倍に広げて、500種類の飾り付け用グッズをそろえ、愛好者の増加に対応している。

米国では関連商品の市場規模がすでに約3000億円という。日本ホビー協会(東京)は「定年退職前の団塊の世代にとっても、撮りためてきた写真と向き合って新しい趣味として楽しめる。スクラッパー(愛好者)は確実に増えていくと思う」と予想している。

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