安住の地、探しています
故岡本太郎氏「明日の神話」 
7月30日(日) 東京朝刊
東京・汐留で8月末まで一般公開されている故岡本太郎氏の巨大壁画「明日(あす)の神話」。原水爆が炸裂(さくれつ)する瞬間を描いた岡本絵画の最高傑作とされるが、今後の設置・公開先が決まらないままになっている。壁画の修復プロジェクトを担当した岡本太郎記念館(東京都港区)の館長、平野暁臣さん(47)は「太郎の作品は娘と同じ。嫁に出すのだから、未来永劫(えいごう)大事にしてもらえる場所に託したい」と話している。


「明日の神話」は、縦5・5メートル、横30メートル。燃える白い骸骨(がいこつ)の周囲に伸びる赤い炎が全体に描かれ、見る者を圧倒する。1960年代後半に制作されたが行方不明になり、2003(平成15)年にメキシコ市郊外で発見。昨年7月から約1年かけて修復された。

平野さんは「核の残酷さを描き、しかし炸裂の瞬間に人間の誇りとエネルギーも同じ強烈さで燃え上がり、強い意志や決意が生まれるという未来に向けたメッセージを伝えている」と解説する。

平野さんは、岡本氏の生誕100周年に当たる2011(平成23)年までには「明日の神話」を無償で提供したい考えだ。多くの人に見てもらうため、特定の人に売らずにパブリックアートを生み出し続けた岡本氏の精神を受け継ぎ、「誰でもいつでも見られる場所に置きたい」と話す。

提供の条件は「公的な場所」で「屋内できちんと見られる環境」、しかも「そこに設置されている意義を誰でも直感できる『物語』のある場所」という。

これまでに、被爆地の広島市が誘致に前向きな姿勢を示しているほか、同市や長崎市の市民が署名活動を展開するなどしている。

しかし、平野さんは被爆地かどうかはこだわっていない。「『物語』は今からどこでも作れる。地域が盛り上げて作品を受け入れてくれれば、そこにも物語ができる」と話す。「嫁に出すんだから、お金じゃない。何百年先も大切にしてくれる地元の人がたくさんいる場所に嫁がせたい」としている。

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