メール便の“盲点”
夏休み防犯対策の落とし穴 
7月31日(月) 東京朝刊 by 津川綾子
夏休みシーズンに入り、気になるのが留守宅の防犯対策だ。不在を悟られないように郵便物や新聞の配達を一時的に止めれば安心、と思いきや、意外と盲点なのがカタログやパンフレットを扱う「メール便」の存在だ。

泥棒シール
「旅が好き」という神奈川県相模原市の主婦(65)は旅先から自宅に帰ってくるとき、郵便受けを開けるのが憂鬱(ゆううつ)だという。「数日、家を空けると、メール便やチラシで郵便受けがいっぱいになっている」からだ。

平成16年9月、知り合いがいるポーランドへ2週間ほど旅行した際には、新聞販売所に連絡して配達を止め、郵便局にも不在届を出して出かけた。だが帰国後、郵便受けを開けると、旅行会社のパンフレット、通信販売のカタログ、自動車会社の月報、デパートなどからのダイレクトメールで郵便受けはいっぱいだった。

「投げ込みチラシと合わせて詰め込まれていて、留守というのは歴然。留守宅の郵便受けには泥棒が目印のシールをはっていくことがあるので注意、といった回覧板を見たことがありますが、うちの郵便受けにもばっちりシールがはられていました。それを見てぞっとしました」。この夏も長期の旅行を予定しているが、「少し不安」と漏らす。

業者の対応
メール便の取り扱いは伸びている。平成17年度は前年度比19・1%増の20億6823万冊。宅配便サービス業者など11社が国土交通省にサービスの実施を届け出ている。

大量の郵便物が届いてもはみ出しにくい、サイズの大きいポストも=東京都渋谷区の東急ハンズ新宿店

発送元にとってはバーコード管理で配達状況の確認ができたり、大口割引が利用できたりと使い勝手がいい。ただ受取手にとっては不定期のカタログや意図しないダイレクトメールがいつの間にか郵便受けに届けられるため、不在時の対処について困るケースも出てくる。

郵便の場合は、不在にする期間と理由を明記した「不在届」を身分証明書と一緒に郵便局に提出・提示すれば、最高30日間、受け持ちの集配郵便局で郵便物を預かり、郵便受けに配達されることはない。

長期間留守にする際は郵便物や新聞だけでなく、メール便の対策も心がけたい

一方で、メール便を扱う各社とも現時点では郵便の不在届に相当する制度を設けてはいないようだ。ただ、昨年度シェア83・9%を占め、業界1位のヤマト運輸の場合、最寄りのサービスセンターかドライバーに留守にする期間を連絡すれば、1週間程度はメール便を預かっている。

「数は多くはないが、これまでにも不在時にメール便を届けずに預かってほしいといった要望があった。制度ではないが、申し出てもらえば基本的に対応はできる」(ヤマト運輸広報)。業界3位の佐川急便も同様の対応をしていることがあるという。

それに対し、日本通運(業界5位)では「荷送り人から指示を受けない限り、配達を止めるのは契約の不履行になるため対応は難しい」(広報)、SBSポストウェイ(業界2位)は「時々、旅行期間中にメール便を止めてほしいという要望があるが、その場合は荷送り人に連絡をしてもらうなどしたうえで、荷送り人からの依頼があれば止めることができる」(広報)と発送元との契約を優先させている。

覗かせない
「留守宅を狙う泥棒にとっては、郵便受けをのぞいて確認するのがもっともリスクが少なくて簡単な方法」と語るのは防犯設備士の中野陽子さん。メール便業者の対応が分かれるなか、郵便ポストから留守を悟られない自衛策はあるのか。

中野さんは「郵便受けの内側の上部から紙などをたらし、差し入れ口から簡単に中をのぞき見できないようにする。一動作をさせることになり、泥棒にとっては心理的プレッシャーとなります」とアドバイスする。

また東急ハンズ新宿店の防犯用品担当、丹沢直樹さんは「通常より2回り大きくB4サイズのものも入る大きな郵便受けが、中身がはみ出しにくいので長期不在にする人に評判です」と話している。

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