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規則正しい生活を心掛け
冬季性鬱病 きちんと対応を
  東京朝刊 by 舛田奈津子
晩秋から冬にかけて、ひどい倦怠(けんたい)感に襲われたり、日中でも眠くて仕方がない…。こうした症状などで悩んでいる人はいないだろうか。日照時間が短くなるこの季節に起きる心の病「冬季性鬱病(うつびょう)」が注目されつつある。春になると回復してしまうため、心療内科や精神科の門をたたく人も少ないという。関西医科大学(大阪府守口市)の木下利彦教授(精神神経科学)に、冬季性鬱病(うつびょう)の特徴や注意点について聞いた。

北欧に多い
冬季性鬱病は、「季節性感情障害」と呼ばれる病気のひとつ。この季節性感情障害という概念は比較的新しい。1984年に、米国の精神科医が季節によって、鬱症状が出る患者と出ない患者の研究を行い、夏は快調なのに、冬だけ症状が出るものを「冬季性鬱病」と名付けた。

10月後半から翌年3月ごろにかけて発症し、20代、30代の女性に多い。一度発症すると、毎冬に規則的に発症するのが特徴。遺伝的要因などもあるが、「高緯度地域への引っ越し」「日光の当たらない北向きの部屋」といった環境が影響することも少なくない。

木下教授は「冬季性鬱病は、北欧などで多くみられる病気。近年、注目されているようですが、日本では患者数が少なく、地域差も大きい。国内でみられるとすれば、日本海側など冬場に雪が降ったり、曇天が続く地域」と話す。

常に眠気
日が短くなると、気分が沈んだり、心細く感じるのは多くの人に経験があること。ただ、冬季性鬱病の場合は、日常生活に支障を来すほどの症状が現れる。

例えば、「体がだるくて、仕事(勉強)に集中できない」「やる気が起きない」…。こうした症状は通常の鬱病と同様のものだが、冬季性鬱病の場合は、「常に眠気を感じ、過眠状態に陥る」「(炭水化物などの)過食」「過食による体重増加」といった症状に特徴がある。

発症メカニズムは不明だが、日照時間が深く関係しているという。脳内で体内時計の役割を果たす松果体(しようかたい)で作り出されるメラトニンは、暗い所で多く生産される。日照時間が短い季節は、このメラトニンの分泌が過剰になったり、不規則になり、体内時計の働きに変調を来すという。神経伝達物質のセロトニンやドーパミンの減少も指摘されている。

積極的に日光浴
冬季性鬱病を予防したり、治療するためには、どのような点に気をつけたらいいのだろうか。

まずは、早寝早起きを心掛け、日照時間帯での活動時間を長くし、積極的に日光を浴びる生活を送るよう工夫することが大切だ。そして、減少しているセロトニンなどの生成につながるタンパク質やビタミンを含む規則正しい食事が重要だという。

また、病院などで治療する際には、薬物療法のほか、専用の照射装置を使って、2500ルクス以上の光を当てる「光療法(ライトセラピー)」が行われる。冬季性鬱病の患者の6割近くが、この治療で改善するというデータもある。

木下教授は「何よりも、規則正しい生活を心掛けること。そして、一番身近な存在である家族の役割も重要。一緒に鍋を囲むなど小さなことでもいいから、秋から冬にかけてのいろいろな楽しみを見つけることが大切です」と話している。



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