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「和洋中」一体/買う時代を強調
おせち商戦本番、激化 自前主義
  9月25日(土) 東京朝刊
お正月に向けたおせち商戦が、“本番”を迎えている。高級料亭・ホテルブランドのおせちを販売する大手百貨店は、一方で、他の店で買えないオリジナルおせちを拡充。自社ブランドを通信販売するリゾートホテルもあるなど“自前主義”が強まっているのが特徴だ。ただ、市場拡大のピークは過ぎたとの見方もあり、おせち商戦をめぐる競争は一段と激しさを増している。

大和リゾートは毎年、関係者向けの試食会を開いている。和・洋・中華が一体となった創作おせちが人気だ=東京都千代田区の大和ハウス工業東京支社(撮影・高橋寛次)

「吉兆」は20万5800円、「なだ万」は15万7500円…。10月中旬から大手百貨店で相次いでおせちの予約受け付けが始まっているが「高級料亭の商品が真っ先に売り切れた」(高島屋)。正月に大切な来客をもてなすときなどに並べるためとみられる。おせち全体も単価は上昇傾向。「売れ筋は3万円台だが、今年は5万円台の商品の動きも強い」という三越は、今月22日現在で、販売額が前年比8%増と好調だ。

大手百貨店は「ほかでは買えない」オリジナル商品の拡充にも力を入れている。高級料亭の商品は数量限定で、多くを売れないからだ。三越は、子供用や酒肴(しゆこう)などから選べる限定の「組み合わせおせち」を昨年の2倍の10種類に増やした。今年は、健康志向に対応したものや有名シェフによるおせちも販売している。

全国でリゾートホテルを展開する大和ハウス工業グループの大和リゾート(大阪市)は、北海道から九州まで、8地域それぞれのホテルの料理長が、地元の食材を使って監修したおせちなどを通信販売している。注文は12月5日まで受け付けるが、今年は「和・洋・中華が一体となった創作おせちを中心に、ほぼ完売の勢い」(西岡宏芳・東京営業部部長)と言う。

同社は百貨店のように、料亭の商品などは販売しないが、全国展開を生かし、各ホテルが常連の宿泊客を囲い込むことができる。どの地域のおせちも注文可能で「出身地のおせちを毎年注文したり、縁のない地域のおせちに目新しさを求めるなど、楽しみ方はさまざま」(同)と強調する。

今年の商品の特徴について、高島屋の食料品担当バイヤー、佐藤一司さんは「高額商品と値ごろなものの二極化傾向。値ごろ商品を取り混ぜ、和風と洋風を組み合わせて複数買っていく方も少なくない」と話す。多様化が進み、子供でも食べやすい洋風や中華のおせち、健康志向の商品も人気だ。

ただ、今後の市場について見方は二分する。高島屋は「女性の社会進出で、つくる時代から買う時代になった」と強調するが、「一昨年がピーク。今後はパイの奪い合いになる」(市場関係者)という見方もある。 2001年の米中枢同時テロで年末年始の海外旅行者が減少して以来、拡大傾向にあったおせち市場の拡大が今後も続くのかどうか。「つくる」から「買う」という意識の定着とともに、市場の読み方は難しくなっているようだ。



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