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知財高裁「形ありふれている」
「ひよ子」の独占認めず 立体商標登録取り消し訴訟
  東京朝刊
鳥形饅頭(まんじゅう)の形には商標権があるのか−。全国で数十種類販売されている鳥形饅頭の中で最も有名な「名菓ひよ子」を製造する「ひよ子」(福岡市)に対し特許庁が認めた立体商標登録は無効として、同じ鳥形饅頭を製造する「二鶴(にかく)堂」(同)が登録取り消しを求めた訴訟の判決が29日、知財高裁であった。中野哲弘裁判長は「鳥形菓子の形状はありふれたもの」として、取り消しを命じた。

立体商標と認められなかった「ひよ子」(右)と、原告「二鶴堂」が製造販売する「二鶴の親子」(左)

立体物の商標登録は平成8年の商標法改正で認めらた。登録要件は、長年使用され、どのメーカーの商品なのかが分かる特徴があることなど。ケンタッキーフライドチキンのカーネルサンダースや、不二家のペコちゃんなどが登録されている。

菓子の形状登録は珍しく、争点は鳥形饅頭を見れば誰もが「名菓ひよ子」と認識できるほど特徴的かどうかだった。

中野裁判長は、鳥形菓子が江戸時代からあることから「名菓ひよ子は和菓子の伝統を踏まえた単純な形の菓子」と判断。さらに「現在でも全国23業者が製造販売しており、遠目には見分けが付かないほど似ている」と認めた。

また、中野裁判長は「ひよ子社に鳥形饅頭の使用を独占させることは、多数の業者を排除する結果になり、公益上望ましくない」とした。

特許庁は15年、「名菓ひよ子は販売実績などから消費者の間で広く認識されており、他社の商品との識別能力がある」として、立体商標登録を認めた。ひよ子社は16年、商標権に基づいて二鶴堂の商品の販売差し止めを求めて福岡地裁に提訴している。

原告の二鶴堂の橋本由紀子社長は「自由に菓子をつくることができるようになってうれしい」と話した。ひよ子社は「判決文を見ていないのでコメントできない」とした。



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