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講義で対価 
阪和興業、床面広告で女子美大と提携 
  東京朝刊 by 田端素央
独立系商社の阪和興業(大阪市中央区)は、商業施設の床面に広告を展開するビジネスで女子美術大学(東京都杉並区)と提携した。同社によると、商社と美術大との産学連携は初めて。提携の第1弾としてコンビニエンスストア「am/pmジャパン」の床面広告のデザインを同大に委託。同社はデザイン料がかからない代わりに、同大で広告ビジネスの講義を実施し、学生の単位取得につなげる。

阪和興業が女子美術大との産学連携で作製したコンビニエンスストア用床面広告。将来の市場拡大も期待される=東京都中央区のam/pm日本橋3丁目店

同社は床材などを手掛けるロンシール工業(東京都墨田区)などと床面広告の材料を共同開発。特殊なプラスチック素材を使った「滑らない、めくれない」を売り物にした床材として今年、「POP STEP」の名称で本格販売を開始した。だが、阪和興業は社内にデザイン部門がないため直接、広告主にデザインを作製してもらわなければならず、事業拡大の足かせとなっていた。

今回の提携では同大の学生20人がデザイン制作を手掛けた。同社はデザインを委託した対価としてビジネスに関する「授業」を提供。広告のコンセプトづくりやプレゼンテーションの方法など、学生たちが就職した後に役立つ実践的なテーマを講義している。

提携第1弾となった広告は、エイベックス・エンタテインメント所属の女性歌手、MAY(メイ)さんのCD販促用広告。「(学生たちに)コンサートを聴いてもらい、広告のイメージを膨らませてもらった」(阪和興業)結果、色とりどりの花の中に楽器をあしらった、ポップなデザインに仕上がった。

このデザインをもとに同社が床面広告を製造。今回は「am/pm」の関東地区約70店舗で、8月28日から2週間にわたって試験的に広告を“掲載”した。コンビニの床面に広告掲載料を支払ったのも商社では初めてという。

同社は床材だけでも10億〜15億円の市場があるとみており、床面広告で「3割程度のシェア(市場占有率)は取りたい」としている。今後は、広告ビジネスとしてスーパーマーケットやホームセンターなどにも展開していきたい考え。「商業施設の床面は、これまで完全な『デッドスペース』だっただけに、ビジネスが広がれば非常に大きな市場になるのでは」と期待感を込める。

産学連携を担当する女子美大研究所の飯村和路所長も「社会に作品を発信することは非常に有意義で、学生たちも貪欲(どんよく)に取り組んでいる。今後も提携関係を発展させていきたい」と意欲的だ。



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