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1割高が定着、高付加価値化の動きも
マンション、価格高く肥ゆる秋  
  東京朝刊 by 橋本亮
マンション販売が活発化する「秋商戦」に変調の兆しが見え始めた。景気回復や団塊ジュニア世代を中心とした旺盛な住宅需要を背景に建設・販売は堅調だが、地価上昇を見込んだ業者の「売り惜しみ」などで販売価格が1割ほど高い、いわゆる「新価格」が定着。その一方で、充実した設備やサービスといった付加価値の高い物件へのニーズが高まるなど、消費者による厳しい選別も始まっている。

値上げどこまで
マンションの建設が続く東京湾岸エリア。ある大手デベロッパーが販売中の新築大型マンションの販売価格は、同エリアで2年前に販売されたものに比べて2割近く上昇している。

夏以降に販売された都心部の多くの物件では、以前に比べて1割程度高い「新価格」が定着し、近郊部や周辺部にも拡大している。「人気エリアでは4000万〜5000万円だった物件が、今は6000万円台になった」(大手不動産会社)という。

だが、地価の上昇傾向を背景に「1割ぐらい高くても損はしない」と考える人も多く、新線新駅エリアや駅前といった“希少価値”の高い物件の売れ行きは好調だ。業界内では、「便乗値上げ」も含めさらに1割高い「新・新価格」への移行もささやかれている。

物件がない?
ところが、新築の供給物件数は減少している。マンション販売が最も活発化する9〜11月でも、「昨年に比べて都心の供給物件が少ない」(不動産関係者)。都心部や人気エリアでは、業界内で値付け動向を探り合っていることもあり、なかなか物件が市場に出回らないのだ。

郊外部や周辺部では供給が増えているものの、販売在庫は昨年に比べて埼玉で2倍、千葉では3倍にも増加。「まず在庫をさばいてから、と考えるデベロッパーも多い」(不動産経済研究所)ためだ。

また、優良地の枯渇や不動産ファンドを含めた用地取得競争の激化で、「今後は目玉となる大型物件は出にくくなる」(杉浦重厚・藤和不動産社長)との指摘もあり、住宅ローンの金利負担増やさらなる価格高騰を警戒する「駆け込み客」をやきもきさせている。

変調の兆しも…
一方で、マーケットには変調の兆しもある。不動産ファンドが、供給過剰感や土地の高値買いなどが原因で期待通りの利益を上げられず、バブル期のような「超高値入札をしなくなってきている」(業界関係者)という。

「新価格」物件でも、「単純に値上げしたのでは、お客さんは付いてこない」(三井不動産)と、設備の充実や商業施設の併設、アフターサービスの強化など“高付加価値化”を進める動きもある。業界内では「販売を遅らせ、値段を上げても、すべてが売れるわけではない。今後はきちんとしたマーケティングや創意工夫が必要」(同社)との声も出ている。



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