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世界で1組だけのペアリング、ブログ開設サービス
注目集める“独身者限定”  
  東京朝刊 by 津川綾子
独身者にターゲットを絞った商品やサービスが注目を集めている。「おひとりさま」や「負け犬」などの言葉が流行して以来、独身者には、ひとりの時間を楽しみ、人生を謳歌(おうか)しているというイメージが先行していたが、注目商品やサービスから浮かび上がるキーワードは「他者とのきずな」。心のすき間を埋めてほしいという思いが投影しているようで…。

シンゲルリンゲンはクリアなスカイブルー色。欧米ではすでに流行しているという

赤い糸ならぬ
昨年、スウェーデンで生まれた指輪「シンゲルリンゲン」は、直訳すると「独身指輪」。スカイブルーの斬新なデザインと、女性用(2サイズ)と男性用(2サイズ)で対となるシリアルナンバーがつけられ、世界のどこかに同じ番号の指輪を持つ異性がいるという、赤い糸ならぬ青い指輪のロマンチックなエピソードを持つことから人気に火がついた。

今年3月、インターネット通信販売「ネットプライス」で発売を開始したところ、これまでに20〜30歳を中心に約3000個が売れたという。

横浜市の会社員、高田健一さん(25)は普段は右手のひとさし指に、会社内ではチェーンを通して首飾りにしてシンゲルリンゲンを身につけている。

「電車の向かい側の席に座った女の子の指に、もしシンゲルリンゲンがはまっていたら、『君は何番?』って聞いてみたい。まだ出会っていないどこかの誰かとリングでつながっていると思うとワクワクする」。オフィスにこもることが多く、学生時代に比べて出会いがなくなったのを最近寂しく感じていたため、「このリングに淡い期待を若干持っています」と語った。

負け犬から化け犬
独身女性限定でブログ開設サービスを無料で提供している「化け犬・jp」は会員約1万人の約半数が30代の女性だ。平成15年にコラムニストの酒井順子さんが独身女性の心情を出版して話題になった『負け犬の遠吠え』にちなみ、その後も結婚しなかった負け犬(独身女性)を「化け犬」と呼んでいる。

サービス提供対象を「独身女性」に絞った理由を「同じ境遇の人と安心して本音をさらけ出せるコミュニティーにしたかったため」と説明するのは運営会社の佐藤郁美さん(34)。自身も「化け犬の1人」という。

「30歳を超した独身女性は、仕事をして収入もあり、毎日楽しく暮らしている。その一方で、だんだん同級生が結婚していき、友達も少なくなり、孤独を感じることがある。気持ちが若く年下と遊ぶけど、その中で1人だけ浮いてしまうのでは…と不安に思っている。だから同じ境遇で集まれる場所は大切です」

忍び寄る孤独感
30歳を境に恋人との行動も減り、自分1人で過ごすことが急増している−。飲料メーカーのヤクルトが一昨年、一人暮らしの独身OL200人を対象に余暇を一緒に過ごす相手を聞いたところ、そんな傾向が浮かび上がった。

「前向き」ととらえられていた人生の選択に忍び寄る孤独感。どう穴埋めをしようとしているのだろうか。同志社女子大学の諸井克英教授(社会心理学)は「時間や経済面での自由を犠牲にしたくないから結婚しないことを選択した独身者の多くは、やはり、情の部分では満たされていないし、寂しい思いをしているようだ。一種の“群れ”を作ることで自分たちの存在を正当化したいと考えている面がある」と分析 独身貴族という言葉があるように、お金のある「独身」にターゲットを絞り、マーケティングを強化する動きもある。

「化け犬・jp」では今後、サイト上でブログ会員を起点とした口コミも狙い、化粧品やダイエット製品などの試用企画を組み込んでいきたいと考えている。「一番お金もあり、情報発信力も強いのがこの年頃の女性」と担当の佐藤郁美さん。 また不動産大手の野村不動産アーバンネット(東京)は4月、独身男性向けの住宅情報サイト「ノムコム for MEN」を開設した。ノムコム推進室の長谷川正朗課長は「独身男性は一人暮らし用にマンションを一度買い、結婚して再び住み替えたりと、将来につながる層」と分析。独身女性がマンションを購入する動機については「老後への不安が最も大きいのでは」と話している。

マーケティング強化の動きも
独身貴族という言葉があるように、お金のある「独身」にターゲットを絞り、マーケティングを強化する動きもある。

「化け犬.jp」では今後、サイト上でブログ会員を起点とした口コミも狙い、化粧品やダイエット製品などの試用企画を組み込んでいきたいと考えている。「一番お金もあり、情報発信力も強いのがこの年頃の女性」と担当の佐藤郁美さん。また不動産大手の野村不動産アーバンネット(東京)は4月、独身男性向けの住宅情報サイト「ノムコム for MEN」を開設した。ノムコム推進室の長谷川正朗課長は「独身男性は一人暮らし用にマンションを一度買い、結婚して再び住み替えたりと、将来につながる層」と分析。独身女性がマンションを購入する動機については「老後への不安が最も大きいのでは」と話している。



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