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コントは「修行」俳優は「間」
「サラリーマンNEO」 生瀬勝久に聞く
  東京朝刊 by 篠原知存
各局のドラマに引っ張りだこの名優だけど、本気で笑わせにかかったら、ヘタなお笑い芸人は裸足で逃げ出すかも。NHKのコント番組「サラリーマンNEO」で、中心メンバーとして活躍している生瀬勝久。番組を見るたびにコメディアンとしての才能に感心させられる。小劇場出身の演技派に「笑いのレシピ」を聞いてみた。

「サラリーマンNEO」生瀬勝久(撮影・篠原知存)

「コント、好きなんですよ。ある意味『修行』みたいですけどね。短いシチュエーションでいろんな役を演じるから、一瞬で面白いことしなきゃいけない、動けなきゃいけない…収録が終わると、もうぐったり。でも俳優として瞬発力は養われますから、そういう現場はありがたいです」

番組は、「サラリーマン」「会社」をテーマにした短いコントをオムニバス形式で放送。シュールな笑いが人気を集める。意外にも、アドリブはほとんどないとか。といっても、もちろんセリフを読むだけでは面白くはならない。

「舞台は1週間だったら1週間、同じクオリティーのものを見せなきゃいけないから、これで行こうって芝居を決めて1カ月けいこしますよね。でもテレビのコントは中ぶらりんでできあがる。リハーサルで集中力を高めて、本番の一発勝負。リテイクもしない。独特の作り方ですね。自然が生み出す奇跡のようなものだと思います」

決められた状況で、面白さを生み出すのは「ずらす感覚」だという。

「誰かをメトロノームにしてリズムを取ってます。そして、ずらす、はぐらかす。そういう息を感じてくれる人がいいですね。自分のリズムしかとらない人は一緒にやっててもつまらない」

と、言い切るだけに、自分にも厳しい。

「用意していくと、だいたい失敗しますね(笑)。置かれた状況で自分の中から出てくるものを信じて臨む。顔とか声とかは限界があるじゃないですか。だから『間』ですね。間というのは僕のもの。でも、以前にやったことをまたやると恥ずかしくなっちゃう。常に新しいことがやりたいですよね」

収録現場には観客がいない。反応がないというのは、難しそうだ。

「そう、カメラの向こうに意識は向かってませんね。人を笑わせるときはやっぱり対象が必要。僕はスタッフさんを笑わそうとしてます。空気が動くじゃないですか。その動きが笑いだと思うんで。笑い声はなくても『クッ』て吹き出す感じがしたら、心の中で『よっしゃ』って。結局ライブですよね、笑いは」

出演は入江雅人、田口浩正、田中要次、野川由美子、平泉成…。

「ほんと共演者に恵まれてますね。僕、現場でずっと皆さんを見てますもん。しびれてます。俳優って、怒ってるときに怒った顔するのか、悲しいときは泣くだけか、っていつも問われてて、そこを自分がどう表現するか、でしょ。かっこいい芝居には、これしかないって部分がある。間の取り方とか身体の動かし方とか。何がうれしいって、テレビに出られることじゃなくて、すごい演技を間近で見られることかもしれません」

今年放送された「サラリーマンNEO」のDVDボックス(ポニーキャニオン、2枚組7980円)が18日発売される。



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