産経Webへ戻る
ENAKってどういう意味? | お知らせ | 新聞バックナンバー購入 | 問い合わせ | リンク・著作権 | MOTO | 産経Web
「賢く」「お行儀よく」
犬の知育ブーム “幼稚園”でマナー学ぶ  
  東京朝刊 by 山口暢彦
ペットブームが続くなか、犬の“知育”熱が高まりをみせている。マナーを学べる“幼稚園”や知育玩具、IQ(知能指数)診断をしてくれるDVDなどが相次いで登場している。住宅事情から室内で飼わざるをえないケースが増え、犬も「賢く」「行儀よく」が求められるようになっているようだ。

しつけの訓練の結果、「ハウス」(犬小屋に入れ)もお手のもの=横浜市の「Tamtam」(撮影・山口暢彦)

トイレ上手に
「お座り」や「伏せ」、トイレ、甘がみ防止など、飼い主と暮らすうえで必要なマナーをしつける“犬の幼稚園”が増えている。

多くは、飼い主が朝夕に送迎して、丸一日、インストラクターによる指導を受ける。その間、遊んだり、お昼寝をする時間もあるという。横浜市の「Tamtam(タムタム)」もそんな施設の一つ。原則、週2日のペースで室内犬を預かり、朝9時半ごろから夕方5時半ごろまでマナーを教える。

青木文近社長がTamtamを始めたのは約1年前。プロのペットインストラクターでもある青木さんはそれまで、家庭に出向くなどして犬をしつけていたが、「1時間ほどの訓練ではしつけが身につかない」ことから1日預かることを思いついたという。現在“通園”している室内犬は約40匹。「飼い主の家に来た日に即入園するのがベスト。1日遅れればそれだけ余計な知識を覚える」と青木さんは話す。

横浜市の主婦、豊田美弥子さんは、オスのトイプードル、ショパンちゃん(9カ月)を預けて5カ月になる。飼い始めたころ、「犬と一緒に穏やかに、楽しく暮らすにはどうしたらいいか」と考え、ペット飼育本を数冊読んでみたが、「監修者によって書いてあることが違う。(しつけは)我流よりもプロに習ったほうがいいと思った」と預け始めた動機を語る。

実際通い始め、効果が出ているという。「以前はトイレを失敗し、じゅうたんを汚していたが、最近はだいぶん上手になってきた。夜中に鳴いたりする問題行動もなく、通わせてよかった」と語る。

青木さんは「しつけがしっかりした犬は、飼い主にしかられないからストレスがたまらない。“幼稚園”での訓練は、わんちゃんと飼い主双方にとって快適な生活につながるのです」と話している。

玩具が続々登場
飼い犬を賢く育てたいという思いからか、「知育玩具」のニーズも高まっているという。

ペットグッズを輸入し、全国約400の小売店に卸している「ウィルインターナショナル」(大阪)では、3、4年前は3種類ほどしかなかった犬の知育玩具が、今では約20種類に増えた。

ダンベル型のゴム製容器にドッグフードをつめ、噛(か)んだり転がしたりしたら穴からフードが出てくるおもちゃや、頭や胴体、腕を分解して遊ぶ人形がある。「どうエサを取り出したり人形を分解したりするかを考えることで、犬の頭の体操になります」と同社東京オフィスの藤田貴洋マネジャー。

一方、ペットの“IQ診断”ができるDVDも登場。「シャイ企画」(東京)が販売元の「ポチ教授の犬(ワン)Q(キュー)診断」は、画面で突然サイレンが鳴ったら犬はどう反応するかなど、15の質問に答えれば犬の“IQ”や性格を診断してくれる。「私も自分の飼い犬でためしてみた。おっとりした性格だと思っていたのに、意外と猪突(ちょとつ)猛進型であることが分かった」と同社営業部の引地隆行さん。

いざというときに豹変(ひょうへん)するかもしれないので、散歩中、無理に引っ張って怒らせたりしないよう気をつけるようになったといい、「DVDでの発見が、今後のしつけや飼い方の参考になるのでは」と話している。

少子化、住宅事情に一因
なぜ犬の知育がはやるのか−。「シャイ企画」の引地さんは「少子化のなか、ペットを子供代わりと見なす人が増え、子供のように、より『賢く』『お行儀よく』育てたいという人が増えているのではないか」と分析する。また、住宅事情によりマンションで飼わなければならないケースが増えていることも理由の一つで、「室内を汚したり、近隣に迷惑をかけたりしないしつけが必要になっているのだろう」とみている。

一方で、猫の場合は知育やしつけのニーズが少ないようだ。ウィルインターナショナルの藤田さんは「目上に従って生きる犬と異なり、ネコは(単独で)マイペース。しつけがしづらい動物なんです」と話している。



産経Webは、産経新聞社から記事などのコンテンツ使用許諾を受けた(株)産経デジタルが運営しています。
すべての著作権は、産経新聞社に帰属します。(産業経済新聞社・産経・サンケイ)
(C)2006.The Sankei Shimbun All rights reserved.

ここは記事のページです