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圏外解消へ“奇策”
ソフトバンク「携帯」ホームアンテナ無償配布  
  東京朝刊 
ソフトバンクは17日、屋内で携帯電話がつながりにくい利用者に対して、ホームアンテナを無償配布することを明らかにした。ソフトバンクモバイルの全国店舗で週内から順次取り扱う。ホームアンテナの機器販売やレンタルサービスは一部で実施されているが、2万円近くする高額商品を無償配布するのは極めて異例。NTTドコモやKDDI(au)も基地局整備を急いでおり、24日開始の「番号ポータビリティー」(番号継続制度)を前に、「圏外」解消の争いが本格化してきた。

「圏外をなくせ」−。屋内通話エリア充実のためにウィルコムが投入した「ホームアンテナ」。ソフトバンクは無償配布に乗り出す(撮影・谷口正晃)

携帯電話は、屋外では電波状況が良くても、屋内に入ると、障害物などで電波状況が悪くなることが少なくない。ホームアンテナはこれを解消。自宅の部屋やオフィス内にアンテナを設置することで、屋外と同等程度の電波状況をつくり出すことができる。

ソフトバンクのホームアンテナは固定電話並みの大きさ。アンテナは2つ必要で、1つは屋外、もう1つは屋内で窓際に設置する。取り付けは専門業者が行う必要があるが、アンテナ機器代のほか、工事費用もすべて無償にする。対象は旧ボーダフォンとソフトバンクモバイルの第3世代携帯電話の加入者で、各店舗で要望を受けて対応する。

ホームアンテナをめぐっては、ドコモが第3世代携帯電話「FOMA」の利用者を対象に販売しているが、機器代(2万円弱)や工事費用を合わせると5万円程度と割高感がある。また、PHS最大手のウィルコムも昨年11月にレンタルサービスを開始したが、通信速度に応じて月額630円または315円がかかる。

ソフトバンクは、ADSL(非対称デジタル加入者線)に参入後、モデムを無償配布して一気に首位に立った実績がある。携帯電話でも“お得意”の無償配布を始めることで、ライバルを追撃したい狙いだ。これに加えて、通常の基地局整備にも四千数百億円を投じる計画で、ドコモ並みの通話品質の確立に躍起だ。

一方、追撃を受けるドコモは「聞かせてFOMAの電波状況」と題した新聞広告を今年6月から展開。寄せられた“声”をもとに基地局整備を急いでいる。今年度のFOMAの基地局投資額は6390億円。約1・5倍の4万4200局に増やす計画だ。中村維夫社長は「JR駅前や短大、高専、パーキングなどの穴はすべてつぶす」と鼻息は荒い。

ライバル2社と通信方式が異なるため、基地局数比較はできないが、auも今後2年は過去最大規模の投資を続ける。今年度は約2割増の3330億円を投じる計画だ。 携帯電話は「つながりやすさ」が生命線。ここで出遅れていたソフトバンクが積極攻勢に転じることで、各社の次の一手が注目される。



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